第二章

 感情が乾いてしまっている。どうせ死ぬのだからと、みんな思っている。これだけ人間が潰れていくのだ、仕方ない。


 この地球という星にどれだけの生き物が住んでいるのか判らないが、その中の人間という生き物一つだけに限って言えば、この地球という星は既に荒廃してしまっている。


 だが地球という生命のコロニーにとっては一番喜ばしいことなのだろう。何しろこの地球を滅亡から救うには何をすればいいのか――そのシミュレーションを行うと、必ずと言って良いほど答えの上位には「人類絶滅」がランクインされるのだから。


 もしギガフォビアというウィルスが、人間という悪病を退治するために地球というコロニーが作り出した抗体なのだとしたら、多分俺たちは助からない。

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