勇者の理由

 ヴェールの『村』と聞いていたけれど、その喧騒は藤堂の想定する村よりはどちらかと言うと街に近かった。


 西洋風の建築と呼べるだろうか。藤堂が召喚する前に住んでいた日本程近代的ではなく、しかしその建築技法は、まだ高校を卒業したばかりで殆どその分野に明るくない藤堂の素人目に見てもそれなりに洗練されて見えた。


 異世界と地球では大きな差異がある。

 文化が違う。人と同等以上の知能を持つ種族が人以外に存在し、魔法が、精霊が、日本では空想上の産物とされたあらゆる神秘が存在する。


 軽く町中を歩いただけで、藤堂はそれらを確認する事が出来た。


 分厚いローブを着た魔導師が持つ黒の炎を灯した魔法の杖。路端で者を売る商人の頭には獣の耳が生えており、藤堂の身長の倍はある巨躯の男が、その身の丈と同じくらいに巨大な青の狼の死体をぶら下げ歩いている。


 最初にそれらを見た時は酷く驚いたものだ。

 もはや随分と昔のように感じられる記憶を思い出し、藤堂は短くため息をついた。


 黒髪に黒目はこの地方では珍しい。容姿端麗である事もあり、道行く人々がちらちらと視線を向けていたが、それを気にする様子もない。

 村の中なので鎧こそ着ていないが、その背には細身の剣が背負われている。

 聖剣エクス。勇者の剣は担い手を選ぶ。藤堂にとってその重さはまるで羽のように感じられ、常時帯剣も殆ど負担にならない。


「変わらないのは表情だけ、か……」


 喜び、悲しみ、怒りの表情。それだけは異世界も日本も変わらない。


 呟く声は喧騒に消えた。

 まだ前線ではないとは聞いていた。だがその光景は、魔王が侵攻しているとは思えないくらいに、平和に見える。


 細い腕がうずく。締め付けられた胸、心の臓が強く鼓動するのを感じる。

 平和を守る。正義を成す。藤堂直継はずっとそれを目指して生きてきた。異世界に勇者として召喚する前から。


 かつては力がなかった。今はある。そして、レベルが上がるに伴いそれはどんどん成長していく事だろう。

 しかし、その意志は果たしてどうなのか。


 ぼうっと考える藤堂の後ろから、すっかり聞き慣れた声がかけられた。


「藤堂殿、お待たせしました」


「ああ……いや、待ってないよ」


 表情を変える。穏やかな微笑みを浮かべ、振り返る。


 以前とは異なり、今いるたった二人の仲間。青髪で剣王の娘らしい女剣士と、魔導師屈指の家柄だという女魔導師の方を。

 まだ共に旅をして日が浅いが、既にそれなりの関係性を築けている。尤も、それが勇者としての立場に伴うものだという事もまた理解していた。本当の信頼関係を結ぶにはまだ時間が必要だろう。


 藤堂のそれよりも巨大な剣を背負ったアリアが、軽い足取りで藤堂の後ろに立つ。

 その容貌を眺める。一月の旅ですっかり日に焼けた肌はしかし、染みひとつない。


 この世界はレベルが全てだ。


 レベルが高ければ剣で切りつけられても傷を受けないし、病にかかる事もない。老化もある程度は抑えられるし、獣の疾さで動く事もできる。現に、アリアよりもレベルの高い藤堂の肌は日を殆ど焼けていなかった。藤堂の意志がそれを拒絶しているのだ。


 ――レベルが高ければなんだって出来る。単騎で一軍を滅ぼしたという逸話を持つ魔王だって倒せる。


 故にレベルを上げねばならない。レベルが上がるまでは危険を冒してはならない。理性では理解できる。だが感情ではまた別だ。


「日が高い内に出たほうがよいでしょう。大草原を超えねばなりません。途中の街で補給も出来ますが、なるべく補給の回数は減らした方がいい」


「……レベル上げも終わってないしね」


「はい」


 アリアが真剣な表情で頷く。その凛々しい様は藤堂がイメージする物語の騎士と一致している。


「大草原に棲む魔物は群れを作る者が多く、強さの割には存在力が低いとされています。草原でレベル上げをする傭兵は殆どいません。それに習うのがよろしいかと」


「……ガーネットなら全部焼きつくすこともできるけど?」


「……群れを作る魔物を舐めない方がいい。魔法の気配に気づかれたら間違いなく狙われるぞ。勿論、なるべくリミスの事は守るつもりだが、数十匹に囲まれてしまえばかなり厳しい戦いを強いられる事になる。ましてや――」


 アリアの視線がちらりと背後に向けられる。そこには興味深そうにあちこちに視線を向けるグレシャの姿があった。

 リミスよりも更に低い身長に長い緑の髪、華奢な体躯と雰囲気はまるで無邪気な妖精のようで、とてもあの死にかけの竜だとは思えない。


 グレイシャル・プラントの人化は藤堂にとっても完全にイレギュラーだった。藤堂がやろうとしたのは死にかけの竜の治療だけだ。だが、如何なる摂理かわからないが変わってしまった以上その責任は取らねばならなかった。勿論、森に帰りたいという意志を見せた場合は森に帰すつもりだったが、今朝方確認して既に一緒についていくという意志を受け取っている。


 藤堂が手を伸ばし、ゆっくりとその美しい長い髪を撫でる。グレシャは僅かに身じろぎをして、悲しげな瞳で藤堂の方を見上げた。


「おなか……すいた……」


「……」


「……食費がだいぶ掛かりそうですしね」


 アリアがため息をつく。


 食事はつい数十分前に宿で取ったばかり。

 どうやら、身の丈は縮んでもその食欲だけは竜の身体の時と大差ないらしく、その子供のような身の丈に見合わずグレシャは凄まじい食欲を発揮した。おかげで、宿泊費は本来の想定の倍もかかってしまっている。道具を無限に収納出来る魔導具がなければ食料を運ぶだけで一苦労だっただろう。


 藤堂は苦笑いで手を髪から離した。


「あはは……食料は多めに用意しようか」


「……はぁ……さすがにあれだけ食べるのでは多少は戦ってもらわないと……」


「でも、戦えるの? こんなに小さいのに……」


 自分より更に身長の低いメンバーに、どこか偉そうにリミスがグレシャの方を見た。

 確かに、見た目だけならばとても戦えるようには見えない。


「……何が出来るのかは今後の課題だな。元があれなんだから戦えないという事はないとは思うが……」


 戦については教育を受けているアリアにも、魔物が人化するなどという話は聞いたことがない。

 その件に関しては実家に調べてくれるよう手紙を送るつもりだったが、それまでグレシャを放置しておくわけにもいかない。


 リミスはどこか釈然としなさそうな表情で自分より小さな少女を見ていたが、やがて飽きたのか顔をあげた。


「まぁいいわ。さっさとゴーレム・バレーに行きましょう! 私の精霊魔術を見せてあげるんだから!」


「……ああ、楽しみにしてるよ。まぁ……教会に報告だけ入れてからかな」


「ああ……そうだったわね」


 リミスから伝えられたアレスからの頼み事。それを達成するために、藤堂たちは教会に向けて足を進めた。


 その内心に燻ぶる得も知れぬ感情に目を向けぬよう注意しながら。





§§§







 前回と同様、教会の外を掃除していたシスターに挨拶をして教会の中に入る。


 陽光を反射するアズ・グリードの象徴、天秤の模様のステンドグラスにどこか静謐とした空気。回復魔法を求めて来ている傭兵たちの間を抜け、藤堂は教会の奥に向かった。


 来るのは一日ぶり。前回は神聖術の試験を受けに来ていたが、今回の目的はまた別だ。

 腕を磨いてもう一度挑戦するつもりだったが、時間がなくなってしまった。幸い、試験はどこの教会でも受けられるらしいのでまた機会はあるだろう。

 教会を管轄する神父は一番奥の部屋にいた。

 藤堂が入室するや否や、何やら机の上に道具を並べていた神父が藤堂の方を向き、僅かに唇の端を持ち上げ薄い笑みを浮かべる。


「これはこれは藤堂様……」


 相変わらずの人を喰ったような笑み。常に睨みつけるような目つきをしていたアレスといい、藤堂のイメージしていたプリーストとは大きくかけ離れている。


 神父が緩慢な所作で立ち上がる。その身の丈は藤堂よりも頭ひとつ半程大きい。細身にも拘らず感じられる威圧感に、藤堂は僅かに眉を顰めた。敵対とは言わないまでも、あまり歓迎されていない事くらいわかる。


「報告にきました。……アレスから聞いていると思いますが」


「ああ……伺っておりますとも」


 神父――ヘリオス・エンデルが笑みを深くし、ぽんと手を打つ。


 リミスが暇そうにそのテーブルの上に目を向け、並べられた道具類に目を丸くする。

 銀の十字架に複数本の十数センチ程の銀色のパイル。きらきらと輝く透明な液体の入った瓶に、先端が丸い銀の杖。他にも何に使うのか予想すら出来ない奇妙な道具の数々。


 藤堂から報告を受けていたヘリオスの方を見上げ、尋ねる。


「……これ、何?」


「ん……ああ。悪魔討伐のための武具ですよ。フリーディアのお嬢様」


 ヘリオスが何気ない動作で杭を指に挟み、素早く手を振る。軽い音と同時に、杭が壁に浅く突き刺さった。

 随分と手慣れた投擲。向けられた驚く視線を気にする事もなく、ヘリオスはもう一本の杭を手にしてそれを愛おしげに撫で、続ける。


「悪魔は祝福された銀に弱いのです。尤も、それほど頑丈ではないので悪魔やアンデッド以外には効果が薄いですが……」


「悪魔討伐……森に出た悪魔を?」


 杭の動きを視線で追っていた藤堂が、神父の方に視線を戻す。その言葉に、ヘリオスが目を細めた。


「……ああ、ご存知でしたか。悪魔は教会の敵、私も及ばずながら協力させていただく予定です」


「プリーストが戦闘を……?」


「ええ……私たちには――退魔術エクソシズムがありますから」


 退魔術エクソシズム

 必要ないとの事で唯一習わなかった神聖術ホーリー・プレイの名前に、藤堂が眉をぴくりと動かす。


「エクソシズム……確かに退魔術は悪魔に有効ですが……ヘリオス殿がたった一人で戦うと?」


 アリアが険しい表情で尋ねる。それに対し、神父は大仰な動作で手を振った。


「いえいえ……私はあくまでサポート、本命は他に専門家が来る予定です」


「騎士団の要請を……?」


「いえ。教会から専門の僧侶プリーストが」


「プリースト……ですか……」


「ええ。数日中に愚かなる悪魔は討伐されるでしょう……」


 ヘリオスは酷薄な笑みを浮かべた。


「……プリーストだけでは危険なのでは?」


「くっくっく……危険など承知の上ですよ。危険を冒さずして神の敵を滅ぼす事はできません」


 アリアの言葉を意に介する事もなく、ヘリオスは突き刺さった杭を抜いた。




§§§




 教会で報告を終えると、村の市場に出て食料品を買い込んだ。


 携帯食料の類は基本的に割高だが、十日の強行軍で得た魔物の素材を全て売り払い、準備金も潤沢にもらっていた藤堂にはまだ余裕があった。グレシャの胃袋を数日満たせるだけの食料を買い込むと、その足で街の出口に向かう。


 数日しか滞在していない村だが、こうしていざ村を出るとなるとどこか感慨深い。少なくとも、魔王を討伐するまでこの村を訪れる事はないだろう。


 途中で藤堂が『事故』を起こした傭兵とすれ違ったが、藤堂は気づかなかった。

 傭兵の方は藤堂の姿を見てぎょっとしたように目を見開いたが、何も言わず怯えるように足早に去っていった。


 出口が見えてきた辺りで、藤堂は教会を出てからずっと思案げな表情をしていたアリアに声をかけた。

 食料品を買い込んでいる間中も何かを気にしているかのように上の空だった。同じパーティを組んでおよそ一月、それほど長い期間ではないが、さすがに気づかないわけがない。


「さっきからどうしたの?」


「……いや……別にどうしたというわけでもないのですが……」


 どこか言いづらそうにアリアが、もはや屋根すら見えない教会の方角に視線を向ける。


「もしかして、さっきの悪魔討伐の話かい?」


「いや……別にそういうわけでは…………はい」


 否定しかけたが、藤堂の真っ直ぐな視線に、アリアは諦めて小さく首肯する。


 出入り口が近く封鎖される事が通達されているのか、門にはいつも以上に人が多かった。村の出入りには手続きが必要とされる。勇者である藤堂にはそれを優先して受けるための証明書が与えられているが、それでもそれなりに時間がかかりそうだ。

 相変わらずきょろきょろと辺りを見渡しているグレシャと、まるでそれを監督するかのようにひらひらした服の裾を捕まえているリミスに一度視線を向け、アリアの方に声を顰めて尋ねた。


「……何か不安点でも?」


「……はい」


 悪魔について藤堂は殆ど知識を持っていない。

 勿論、上位の魔族が強力な力を持ち、一般人では太刀打ち出来ない事や、並の加護では打ち破れない堅固な結界を纏っているなどの基本的な情報、現在確認されている悪魔の情報などは教えられたが、所詮は付け焼き刃にすぎない。


 声を潜める藤堂に、アリアもまた声を落とし、返す。


「……藤堂殿は覚えていますか? 私たちに向けられたあの殺意の咆哮を」


「……ああ、忘れるわけがない」


 答えながら心中で繰り返す。忘れるわけがない。ああ、忘れるわけがない。


 藤堂は勇者だ。それを萎縮させる程の威圧は打ち破るべき一つの壁だった。

 確かに思った。勝てないと思った。だがしれは決して、負けを認めたわけではない。勝ち目のない戦いだろうと、正義のためならば挑む事に躊躇いはない。


 首肯する藤堂の表情に、アリアは聞こえないように小さくため息をつく。


 唇が、口の中が乾いていた。

 言うべきなのか言わざるべきなのか。アリアは迷った。迷っていた。

 あの殺意を前にした藤堂の反応。人間性は決して悪ではないが、その勇気はあまりにもその実力に見合っていない。あまりに無謀だと言わざるをえない。もしアリアが止めなければ


 だが、藤堂は勇者だった。信頼すべき聖勇者だった。これから長く旅を共にするリーダーに隠し事をするべきではない。

 リザース家の家訓は誠実である事。アリアはその剣術こそ流派を違えたが、家訓を変えたつもりはなかった。


 結論を出すと、アリアは乾いた唇を舐めて言った。


「あの殺意の主、あれは……悪魔ではありません」


「……え!?」


 アリアはそれを思い出し、肩を震わせた。


 レベルの高い生き物の殺意は物理的に人間を縛る。剣王という人類最上位の剣士を親に持つアリアは、実戦経験さえ少なくとも、上位者の存在を常に身近に感じてきた。

 訓練とは言え、その殺意も何度も身に受けてきた。森の中で感じたそれは、高レベルの剣士が放つそれに勝るとも劣らない。だが、問題なのはそこではない。


「藤堂殿はご存知ないかと思いますが……悪魔やアンデッドと言った闇の眷属の気配には独特の感覚が付随するのです。言葉には言い表せない恐怖、身体の奥底、心臓を闇に浸されるような独特の気配が。ですが、あの時感じた殺意は質量自体は相当大きくとも……その気配がなかった」


「闇に浸されるような……気配……」


 真剣な表情で藤堂がその言葉を反芻する。


「そもそも、ヴェールの森に悪魔やアンデッドの類は存在しないはず……十中八九あの殺意はもっと別の……動植物系の魔物のものでしょう」


「……動植物系、か……それで何か問題が?」


「……はい」


 目を見開き、藤堂の方をじっとみつめ、アリアが言った。


「あの神父が言った通り……プリーストが使う攻撃手法――エクソシズムは闇の眷属以外に効き目が薄いのです。藤堂殿、彼らはきっと――敗北します」


「敗北……する?」


 唇から出た乾いた声。藤堂の思考が遅れてその言葉の意味を理解する。

 藤堂の瞳孔が大きく開き、漆黒の虹彩がアリアを射抜いた。


「負ける、というのか? 彼らが?」


「おそらくは……」


 その感情の色に、僅かな後悔がアリアを襲う。が、既にもう遅い。

 そもそも、それに付き合うと決めたのだ。アリアの役割は勇者に付き従い魔王を倒す事。


 藤堂が震える声でアリアに問いかける。


「彼らは専門家を呼ぶと言った」


「それは……悪魔討伐の専門家です。プリーストは決して魔物討伐の専門家じゃ……ない。それはこの国では剣武院――騎士団の管轄なのです」


 事実、王国内に侵入してきた強大な魔物たちの殆どは、騎士団によって討伐されてきた。勿論、教会からのプリーストの派遣もあったが、それはあくまで回復や補助魔法のためであって、直接魔物と刃を交わしたわけではない。


 藤堂は必死に頭を回転させた。

 ヘリオスに対して、藤堂は決して好意を抱いてはいなかったが、敗北すると聞いて喜ぶ程の嫌悪も抱いていない。それは藤堂の目指す正義ではない。


 ふとある事に気づき、藤堂が顔を上げ、アリアを問いただす。


「待て……何故それをヘリオスさんに言わなかった? それを教えていれば――」


「……無駄、だからです……」


「……は? 無駄……?」


「……はい」


 村を出る順番が着々と近づいてきていた。

 後ろに並んだ傭兵のグループに急かされるように前に進み、アリアが答える。


「プリーストが討伐に動くという事は、教会本部からその命がくだされたという事。それは言わば……神命、彼らにとって何よりも優先される。あの神父は例え勝ち目がなかったとしても挑むのをやめないでしょう」


「……は?」


 あまりにも理解できない言葉。

 呆気にとられる藤堂に、アリアが続ける。アリアは知っていた。剣武院と魔導院、そして教会は国防の要。それぞれの特性は理解している。それぞれ、一長一短、特性、歴史、役割がある。例え魔王からの苛烈な侵攻があったとしてもそれは変わらない。


「そして、それは教会から派遣されてくるという専門家についても……同様。藤堂殿、覚えていませんか? 本来教会で忌避されている魔物喰らいを自ら進言し行ったアレス・クラウンの姿を。魔王討伐という神命のために教義をすら破ったプリーストの姿を。プリーストとは元来……そういうものなのです」


 アリアの言葉に、藤堂は思い出した。


 魔王討伐を達成するためにあらゆる全てを犠牲にしていたあまりにも苛烈なプリーストの姿。とてもプリーストには見えなかったが、アリアの言葉が本当ならば納得がいく。


 黙ったままそれを聞く藤堂の表情を見て、アリアが浅くため息を付く。


 予想通り。予想通りである。勇者はきっとそれを望まない。それを選ばない。不義を認めない圧倒的な理想の追求者。常人では決して選ばぬ選択を容易く成す者。 


「藤堂殿、私は……言いたくなかった。本来ならば言うべきではなかった。しかし、私たちが取れる手段が二つあります……」


 アリアの言葉を聞いて、藤堂が険しい表情で下唇を噛んだ。




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