第26話 託児所殺人事件 09

 誰が知ってた?


「ねえねえ。このカメラおもちゃって誰が知ってたの?」

「おもちゃじゃないのだが……少なくとも、私と彼は知っていただろうね」

「それは従業員だからですか?」


 そう訊ねたポンコツ刑事の質問にお兄さんは「そうです」と答える。


「僕はアルバイトですが、教育されていたので監視カメラについても知っていました」

「ふむなるほど……」


 ポンコツ刑事が悩みこむ。

 そうだ。もう少しだ。頑張れ。

 そこから導き出される事実があるだろう。


「……ああ!」


 ポンコツ刑事は手をポンと叩く。

 よし。よくやった。

 気が付いたんだな。

 さあ、その事実を突きつけたまえ。


「つまり、この犯人はラッキーだったってことですね。防犯カメラがダミーだったので」


 この大馬鹿が!

 思わずズッコケそうになった。母親の腕の中だからそんなことは出来ないけど。

 どう考えても違うだろう。


 ここで言いたいことはただ一つだ。


 犯人は突発的に犯行を行った。

 だが、その後の処理は突発的ではないはずだ。

 外からの犯行に見せかけるために荒らした。

 しかし、監視カメラがある中でやっても仕方がない。ダミーだったけれど。しかも監視カメラダミーは目立つ位置にあった。

 つまり、犯人は最初から監視カメラがダミーだと知っていたということになる。

 そうなると容疑者は二人に絞られる。


 偉い老人。

 爽やかお兄さん。



 二人のどちらかが犯人だ。

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