214話 『宴』に向けて
さすがというかなんというか、ジネットはすぐにコツを掴み、エビチリを自分のものにしてしまった。
もっとも、本人はまだまだ納得いっていないようだが。
それでも、味はすでに俺の作るエビチリよりも美味い。
こいつ、チート持ちなんじゃないのか?
マグダとロレッタも、俺からではなくジネットから教わりたそうにしている。
そっちの方が美味しく出来ると思っているのだろう。
俺がジネットに作り方をレクチャーしてから数時間が経ち、何度か練習した結果、店で出しても問題ないレベルのエビチリが完成していた。
そして、その試作品を食っていたのは、こいつらだった。
「リカルドさん。このエビ、何肉だと思うです?」
「テメェ、バカにしてんのか、普通っ娘!? エビだよエビ! エビ肉!」
「……ウーマロ、美味しい?」
「マグダたんを見ながら食べればなんだって美味しいッス!」
「シスターはどうですか?」
「もりもりもり……はぁ、美味しいもり~」
ベルティーナ、語尾がおかしくなってんぞ。
「はぁ~☆ やっぱりエビは美味しいよねぇ~☆」
「エビフライとかお好み焼きで食べるのもいいけど、これもなかなかやるよね」
「まぁ、鮭には劣るけどな!」
……やばい。
誰一人参考に出来ない。
リカルドはバカ舌だし、ウーマロはマグダならなんでもいいし、ベルティーナは食い物ならなんでもいいし、マーシャは海の物ならなんでもいいし、エステラは基本的にジネットの作る物を全肯定だし、デリアは結局鮭だし…………もう少しまともなヤツはいないのか、四十二区には。
「セロンにでも食わせるか」
「『英雄様にいただいた物はなんでも美味しいです!』――ってなるんじゃない?」
くっ、エステラの冗談が冗談じゃなくそうなりそうでイヤだ。
「そういうのだったら、イメルダとかどうかな? 一応お嬢様なんだし」
「いや、あいつも結構バカ舌だぞ?」
B級グルメでも大喜びで掻っ食らうようなヤツだからな。
祭りの時のはしゃぎようといったら……
「そういう意味では、きちんと味の判定が出来るのはジネットちゃんくらいなんだね」
「表現力が乏しくて、常人には理解出来ない言語での評論になるけどな」
基本「わっしょいわっしょい」だ。
「……食レポなら、マグダにお任せ」
「あっ。あたしも得意です!」
んばっ! と挙手をして名乗りを上げるマグダとロレッタ。
『食レポ』に該当する異世界の言葉が非常に気になるな。レポーターとかいるのか、この世界?
『強制翻訳魔法』のお遊びは置いといて、マグダとロレッタが食レポ……どうだろうか?
マグダは、味に関しては偏った趣味嗜好はないし、――苦いのは苦手だが――客観的な意見を言えるヤツでもある。
四十区の高給ケーキ屋(ぷっ)ラグジュアリーのかつてのケーキを、先入観を持たず『美味くない』と言い切ったヤツだ。
ウェイトレスとしてのプライドみたいなものも持っているようだし、ジネットが作ったからと贔屓めな意見を言ったりはしないだろう。
片やロレッタは、天性の食レポとでも言うべき語彙力と滞らない饒舌さを持ち合わせたヤツだ。
パウラのとこの魔獣のソーセージの食レポは、通りすがりのオッサンどもの胃袋を鷲掴みにした優れものだ。
こいつらなら、公平なジャッジをしてくれるかもしれない。
「「うん、おいしい」です!」
……ダメだ。
華も味気もない感想だ。
そうだよな。
こいつら、普段から「美味しい美味しい」ってジネットの料理食ってるもんな。
「結局、ジネットちゃんの作る料理は美味しいんだよ」
エビをもりもり食べつつ、エステラが得意げに語る。
結局は、料理長の舌が頼りってわけか。
「ジネット。自分で食ってみてどうだ?」
「はい。手前味噌で恐縮ですが、そこそこ美味しく出来たと思います」
そこそこ、ね。
もう少しこだわって自己流にアレンジしたいという意思の表れだろう。
……で、だ。
「『宴』に関してなんだがな」
マーゥルの働きかけもあるから、ドニスは参加するものとして話を進める。
参加してもらわなければ意味がないからな。
「宴で出す料理を決めなければいけない」
「麻婆茄子ではないんですか?」
当然、麻婆茄子はメニューに入れる。
一品だけ浮かないように、エビチリを混ぜてもいい。
だが、『宴』は二十四区の「教会の庭」で行われる。
つまり、外だ。
外で麻婆茄子というのも、なかなかミスマッチだ。
麻婆茄子はあくまで、「二十四区の新しい調味料の宣伝」目的に作るだけだ。
『宴』を盛り上げる料理は、『宴』に相応しい料理にしなければいけない。
外でやる『宴』といえば……
「お花見をイメージしたプランニングをしようと思う」
咲き誇る桜を眺め、飲めや歌えや揺らせや挟めや、日本の四季を彩る代表的などんちゃん騒ぎ。盛り上がらないわけがない。
で、そんな場で麻婆茄子は……やっぱり浮くだろう。
「お花を、見るんですか?」
「いや、あくまでイメージなんだが……まぁ、綺麗な花を飾って愛でるのもありかもしれんな」
「では、ミリィさんにお願いしてみましょう。きっと、『宴』を彩る素敵なお花を教えてくださいますよ」
なるほど。
ミリィに花を用意してもらうのはありかもしれない。
……フィルマンに渡してやれば、リベカに………………手渡す勇気があるかな、あのヘタレに。
「じゃあ、後日ミリィの店に行ってみよう」
「はい。お供します」
とんとんと、ジネットとミリィの店へ行くことが決まった。
飾りにも気を遣いたいよなぁ、やっぱ。
意識の改革は、ワンランク上の感動によって初めてなされると言っても過言ではないからな。
「じゃあよぉ」
口の周りをチリソースで真っ赤に染めて、リカルドがこれ見よがしな顔で発言する。
「また花火でも打ち上げたらどうだ? あいつは派手だし、きっと参加者連中は度肝を抜かれるぜ」
「その花火がきっかけで『BU』に目を付けられたのに、他所の区で節操なく打ち上げたりしたら反感を買って状況が悪化するに決まっているだろう? ろくな意見が言えないならエビと間違えて茄子でも食べてなよ」
「よくもまぁ、ノーブレスでつらつらと暴言が吐けたな、エステラ!? お前らのために考えてやってんだろうが!」
「『下手の考え休むに似たり』だよ」
「……ぐぬぬ」
完全に言い負かされるリカルド。
エステラも、最初からこれくらい強気で行ければ、外門設置の時だってもっとスムーズに交渉が進んだだろうに。
エステラ自身も、領主代行として下手なりにあれやこれやと悩みに悩んで悪手を連発してしまったと自覚しているのだろう。
『下手の考え休むに似たり』は、エステラ自身が痛感した自戒の念なのかもしれないな。
「リカルドも覚えておいた方がいいぞ。結構ためになる言葉だからな」
「ふん! お前に言われたくねぇよ、オオバ」
「せーの!」
「「「「覚えろよ」」」」
「うるせぇぞ、陽だまり亭ウェイトレスと海漁川漁!」
俺に言われたくないというから気を遣ってやったというのに。
「……で?」
「べ?」
「……そ?」
「はうっ! あたしの分も残しておいてほしかったです!」
「遊ぶな、オオバと虎の娘! そして悔しがるな普通っ娘!」
カリカリとしやがって。
何がそんなに気に入らないのやら。
「覚えてやるから、さっきの言葉をもう一回言ってみろっつってんだよ!」
「リカルド……『お願いします』は?」
「教えろ、オオバ!」
貴族ってやーねー、横暴で。
慣用句とかいろいろ覚えて、教養を身に付けるといい。リカルドにはそういうのが必要なのだろう。
しゃーねーなぁ……ったく。俺もつくづくお人好しだ。
教えてやるよ。
「『ぺったんの横乳あばらに似たり』だ」
「『下手の考え休むに似たり』だよ!」
「え、なんだ? 『下手に横乳』? なんだって?」
「リカルド、覚える気ないだろう、君も!?」
リカルドが「バカ舌」に次いで、「単なるバカ」を露呈したところで、本題へと話を戻す。
ったく、こいつらといると遅々として話が進まねぇ。
「この遅々ヤロウどもめ」
「乳ヤロウは君だよ、ヤシロ」
冷めた目で睨んでくるエステラはさくっと無視して、折角大勢集まっているので、こいつらの意見を聞いてみようと思う。
「なぁ、お前ら。以前やった祭りで印象に残ってる物ってなんだ?」
「お好み焼きです!」
真っ先に答えたのはベルティーナだった。
……お好み焼きも食ってたんだな。俺が見かけたのは、魔獣のフランクフルトを大量購入している姿だったが。
「あと、魔獣のフランクフルトも美味しかったです! あ、ベビーカステラも!」
「ベルティーナ。お前に任せておくと屋台にあったラインナップ網羅しそうだから、もういいよ。他のヤツは?」
「ボクはがま口かな」
「それは祭りの時に俺がやったヤツだろうが」
「違うよ。祭りの時にイメルダに進呈した見返りとして、後日ボクがもらったヤツだよ」
「じゃあ、祭りの時の話じゃねぇじゃねぇか!」
祭りを見てどう思ったのかを聞かせろっつってんだよ。
祭りを知っていた俺ではなく、あの時初めて祭りを体験した者の感想が聞きたいんだよ。
この街の連中は、どんなものに感動するのかってところをな。
「わたしは、浴衣が素敵だと思いました」
当時、ウクリネスが多忙に多忙を重ねながらも魂を削ってまで制作したオリジナル浴衣。
確かにあれは見栄えがよかった。……みんな、ちゃんと「穿いてなかった」し。
「お祭りミュージックがよかったです!」
ロレッタが言っているのは、ウッセんとこから借りた太鼓のことだろう。狩猟ギルドが魔獣警戒用に使う物らしいが、和太鼓っぽい音が出たので祭りの賑やかしにちょっと使わせてもらったのだ。
祭り囃子と呼ぶにはあまりに稚拙ではあったが、太鼓などの鳴り物を派手にドンチャン鳴らして賑わいを演出した。
そろそろ篠笛――祭り囃子の横笛だ――でも作ってみるかな。
「……出店」
マグダの意見は、ベルティーナと似ているようで異なる。
通りに店が並んでいるその様自体が楽しかったということらしい。
確かに、あの雰囲気は独特だもんな。テンション上がるよ。
「……店長はずっと店にいて出店を回れなかったから、出来れば見せてあげたい」
「マ、マグダさん……」
マグダの気遣いに、ジネットがうるるっと涙腺を緩ませる。
へぇ、マグダがそんなことを考えていたとはな。こいつは本当に気の利くヤツだな。
「あ、あたしも! あたしも店長さんとお店回りたいって思ってたですよ! ホントですよ!」
「マグダさん、ロレッタさん。ありがとうございます。そう言ってもらえるだけで嬉しいです」
「わは~い」と、三人娘が抱き合ってじゃれ合う。
わぁ、混ざりた~い。
「俺もジネットと出店を……」
「下心が顔に出てるよ、ヤシロ」
ちっ。なぜいつも邪魔をするのだ、エステラ。
「ヤシロさんとは、あの……お店は、見て回りましたし…………ね?」
何か含みを持たせた瞳がこちらを見ている。
……いや、まぁ。確かに祭りの後に二人で出店の前を歩いたけども…………なんで今、さも『特別なこと』のような感じで言うかな。……エステラたちの目がほそーくなって俺を睨んでんじゃねぇか。そんな目で見るな。別にジネットに変なことはしてねぇっての。
「じゃあ、『宴』でも出店を出すか」
「……ポップコーン」
「お好み焼きです!」
それ、二号店と七号店じゃん。
もうちょっと目新しい物が欲しいんだよな……
「お子様ランチはどうでしょうか?」
いや、ジネット。それは立ち食い無理だから。
外で食える物にしてくれるかな。
「最近出来たのだと、ドーナツとか、ピーナツバターとか」
甘い物ばっかりが増えていくな、この店は。
「エビチリ~☆」
「なぁ、オオバ。麻婆茄子に肉をぶち込むってのはどうだ? ステーキとかよ!」
甘い物と中華……俺も、もっと計画的に新メニューを提案しなきゃいかんよなぁ……あとリカルド、それはもう麻婆茄子じゃねぇ。
「そうなると、二号店と七号店を持って行くことになるんですかね?」
かつて、ルシアのところへ行ったように、二号店と七号店を曳きながらの移動……それはさすがに無理だろう。今回は人が多い。移動は馬車にするつもりだ。
「なら、オイラたちが向こうで簡単な屋台を組み立てるッス! 十個程度なら、ウチの馬車を使えば材料も一度で運べるッス」
トルベック工務店が資材運搬に使用している大型の馬車、それを借りられれば、教会内に簡易屋台を組み立てることは可能だろう。
そして、さりげなくマグダと一緒に『宴』に参加しようと目論むウーマロ。
……その目論見、黙認してやるから設置費まけろよ?
「あの、ヤシロさん。私からも一つお願いをしても構いませんか?」
遠慮がちに、ベルティーナが口を開く。
お願い……
「何が食いたいんだ?」
「みなさんが用意してくださる物はどれも美味しいですので、食べ物に関する要望はありません」
にっこりと笑って首を振る。
言われてみれば、ベルティーナはあんまり「アレが食べたい」みたいなことを言わない。
目の前にある物を(人智を超えるレベルで)食べているだけだ。
では、そんなベルティーナの要望とはなんなのか。
それは、俺から見れば少々意外なことだった。
「四十二区と二十四区の子供たちが、一緒になって遊べるオモチャを用意してはいただけませんか?」
オモチャ。
遊び道具。
それも、四十二区と二十四区のガキどもが一緒に遊べる物――
「今度の『宴』を、子供たちはみんな、とても楽しみにしているんですよ」
『宴』の主目的はドニスの籠絡だ。
二十四区を味方に付け、『BU』から突きつけられている制裁を撤回させるための根回しをしようって魂胆だ。
だが。
場所を貸してくれた二十四区の教会と、そのために名を使わせてもらったベルティーナからすれば、互いの教会で面倒を見ている子供たちの交流会という側面が何よりも強く打ち出されているのかもしれない。いやまぁ、確実にそうなのだろう。
ドニスに、獣人族へいい印象を与えるのも目的の一つといえば、そうかもしれない。
「……『一緒に』だな?」
「はい。『一緒に』遊べる物がいいです」
二十四区の教会にいるガキどもは――みんなどこかしらに問題を抱えている。
視力、聴力が弱い者や、大怪我を負った者、手や足を失った者もいる。
そんな連中と、年中走り回っている元気だけが取り柄の四十二区のガキが『一緒に』遊べるオモチャ、か。
まぁ、パワーと元気なら二十四区のガキどもも負けちゃいない。
なにせ向こうはオール獣人族だ。基礎能力が違い過ぎる。
怪我を意識して大人しく遊べる物――なんて考えたら大失敗をするだろう。
ヤツらは――ガキどもは、力をセーブして遊ぶようなことはしない。そんな遊びで満足したりは決してしない。
難しい要求を簡単に突きつけてきやがって……
「……ちょっと、考える時間をくれ」
「はい」
ベルティーナは、今回のプロジェクトの最重要人物だ。
ベルティーナがいたからこそ、教会での『宴』が可能になったのだ。
ならば、ベルティーナの願いは何がなんでも叶えてやらねばならない。
「ヤシロ。親切を働く理由を考える前に、何を作るかを考えた方がいいんじゃないのかい?」
マーシャの隣でにやりと笑うエステラ。マーシャもくすくすと笑っている。
やかましいわ。
「ヤシロ、じゃあアレを作ったらどうだ?」
デリアがぽんと手を打って、「名案を授けてやるぜ」とばかりに溌剌という。
「足漕ぎ水車!」
「いや、お前。どんだけ気に入ってんだよ、足漕ぎ水車」
だから、あれは遊具じゃねぇって……………………あ、そうか。遊具か。
「デリア、でかした。凄く偉い」
「おぉ! なんかめっちゃ褒められたぞ、あたい!」
足漕ぎ水車はダメだ。
二十四区のガキどもの中には出来ないヤツもいるし、そもそも、教会内に川がない。
だが、他の遊具なら――うむ。いけそうだな。
「ウーマロ」
「はいッス!」
「マグダと一緒に『宴』で働ける券いらないか?」
「欲しいッス!」
「いいのかいウーマロ……ヤシロは君をタダ働きさせようとしているんだよ?」
『マグダ』と付けばなんでも欲しがるウーマロ。
ちょっとばかり、技術のいる物を作ってもらおうかな。
「でも、トルベック工務店の大工には屋台の設営をしてもらわないといけないんだよ」
「大丈夫。屋台は骨組みさえしっかりと加工して作っておけば、素人でも簡単に組み立てられる。な、そうだろ?」
「はいッス。『宴』が終われば片付けて撤収するッスから、もともと嵌め込み式にするつもりだったッス。組み方さえ知っていれば誰でも組めるッス」
「というわけで、デリア。協力を頼む」
「おぉ! あたいも行っていいのか!?」
「えぇ~! じゃあ私も行きた~い☆」
「お前、屋台組めないだろ? あたいに任せとけって」
「屋台組まなくていいから、行きた~い☆」
それ、ただ遊びに来るだけじゃねぇか。
「あんまり大所帯になるのもな」
「そうだね。向こうにも悪いし……マーシャ、今回は悪いけど」
「えー! やだやだ! 私も行くもん~☆」
エステラの脇腹を「でゅくし、でゅくし!」と小突くマーシャ。
そして、真剣な表情で俺に訴えかけてくる。
「鯛! 持ってきてもいいよ☆」
また、豪華なもんを…………うわぁ、名前聞いたら食いたくなってきた。
鯛茶漬けとか、鯛飯とか、刺身に湯引きに蒸し煮込み焼き………………ん?
「マーシャ……」
俺はマーシャに向かって渾身のサムズアップを贈る。
「是非ご招待しよう! 美味しい魚を持って参加してくれ!」
「ぅわ~い☆ ヤシロ君、だからだ~いすき☆」
この時、俺の脳内にはとある料理が思い浮かんでいた。
さて、上手くいくかどうか……もし成功すれば…………ジネットが大喜びするだろうな。
「ジネット。またちょっと新しいメニューを試作するぞ」
「はい! 楽しみです」
「はい! 楽しみです♪」
後の方はベルティーナだ。
「試食会、是非呼んでくださいね」
「いや、お前は呼ばなくても勝手に紛れ込んでくるだろうが……」
きっと次回もベルティーナが紛れ込んでくるだろうな~などと思いつつ、俺はこの後の予定を脳内で組み立てていく。
まずはこっちの世界で通用するかの確認と……作っておかなきゃいけない物もあるか…………時間がないな。今夜から早速行動を起こすか。
空は落ち着いた光に満ちていた。
これからゆっくりと暮れていくのだろう。
相変わらず、雨は降らない。
そっちはそっちで、なんとかならないもんかねぇ、まったく。
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