104話 第二の被害

「『精霊の審判』対策の指導……ですか?」


 早朝、陽だまり亭の食堂内にて、野菜を卸しにやって来たアッスントが俺の質問を復唱する。

 こいつも、相当『精霊の審判』には神経を尖らせてきた男だ。同じことをやっているようなヤツに心当たりがないかと思って聞いてみたのだが。


「そんなもの、それなりのギルドであれば当然のように行われていますよ」

「どこでもか?」

「名のあるところほど、入念に」


 ギルドの組合員からカエルが出るということは相当に不名誉なことらしく、教育の一環として色々叩き込まれるらしい。……社員に英会話を教える企業みたいなもんか? まぁ、俺の知る限り組織が強要したスキルアップ講座での成功例なんてほとんどないわけだが。


「『ライバルに出し抜かれないための教育』と…………『ライバルを出し抜くための教育』は、徹底して行いますね」

「おっかねぇ話だ」

「もっとも、ウチの行商ギルドなどは控えめな方ですけどね」

「嘘吐けよ。カエルにすんぞ」

「ほっほっほっ。それは四十二区では御法度ですよ」


 あぁ、そうか。

 こいつまだ気付いてないんだ。俺がお前に『精霊の審判』をかけられる状況だってこと。

 エステラの方が鋭いってことかなぁ、これは。


「ヤシロさんなら、とっくにお気付きでしょうが……アルヴィスタンが完璧だと盲信する『精霊の審判』には穴が多い。ですので、こちらが十分な自衛をしていないと思いがけない損害を与えられることがあるんですよ」

「まったく……ろくでもないな、精霊神ってヤツは」


 こんな不完全な上に回避不可能なもんを無責任に撒き散らしやがって。


「口にはお気を付けください。あなたが刺されでもしたら、何かと不利益を被りますので」

「利益で人の命を量るな」

「おや? ヤシロさんとは同類のつもりでいるのですが?」


 笑えない冗談だ。


「しかし、精霊神様のおかげで苦労をさせられることが多いのは、悲しいかな、事実ではありますね」

「目の前にいたらお尻ぺんぺんしてやるのによぉ」

「ふふふ……オイタが過ぎますと、天罰が下りますよ」

「んじゃあ、お尻なでなでにしとく」

「…………天罰まったなしですね」


 やれやれと肩をすくめるアッスント。

 こいつもアルヴィスタンではあるんだよな。ただ、ジネットほど敬虔ではないようだが。


「ヤシロさんとお話をすると、毎度新しい発見をさせられます。精霊神様にお尻ぺんぺんとは…………ふふふ」

「バカなことをやったらお仕置きされるのは、神も人間も精霊も関係ないだろう」

「いえいえ。それよりも、精霊神様をまるで我々と同じように存在していると捉えているあたりが面白いなと思いまして」


 神様を信じるかと聞かれれば、素直に「イエス」とは言いにくいところだが、こうまではっきりとその力を見せつけられ続けていれば「まぁ、いるんじゃねぇの」くらいには認識は変わるものだ。


「アッスントは精霊神は存在しないと思っているのか?」

「そんなことはないですよ。精霊神様は存在しておられます。確実に。ただ……」


 籠から形のいい大きなトマトを取り出し、それを手の上で弄ぶ。


「このように触れることは叶わないと思っています。言うなれば、精霊神様は幼き日に食べたカボチャのスープなのです」

「カボチャのスープ?」


 こいつは何を言っているんだ?


「申し訳ありません。例えが分かり難かったですね」


 くつくつと笑い、アッスントは手振りを交えて説明を始める。


「カボチャのスープは私の大好物でして、幼い頃の私はそれが世界で一番美味しい物だと思っていたのです。ただし、我が家は貧しかったために、一年に一度ほどしか口には出来ませんでした」


 アッスントは子供のころ貧乏だったのか……

 それで金に執着するようになったのかねぇ。なんにせよ、今は立派に稼げるようになったんだから、こいつの人生は成功した部類に入るだろう。


「目を閉じれば思い出されます。あの色、香り、味、そして、あの温かさ……」


 瞼を閉じたアッスントが、脳内に浮かんだスープに触れようとでもしているのか、腕を伸ばし何もない空中に手をさまよわせる。


「その存在を認識し、姿形も鮮明にイメージ出来る。けれど、決して触れることは叶わない。なのに、この場所になくとも私はカボチャのスープが好きだと自信を持って言えます。つまり、精霊神様とは人々にとってそういう存在なのですよ」

「分かり難い例え話だ」


 また、アッスントがくつくつと笑う。


 まぁ、偶像崇拝なんてのはそんなもんなのかもしれない。

「有る」と言われた物を己の心と頭の中で具現化し、崇拝する。ただ、個人の頭の中にしまい込んだもの故に各々が勝手にカスタマイズしてしまうことがあるのだけどな。

 自分の都合のいいように。


「それを、まるで人間と同じような扱いで……ふふ、ヤシロさんの国の神様は人間に混ざって同じ世界に暮らしておいでなのですか?」

「そんなことはないけどな」


 なんだろう……これは小馬鹿にされているのか? 褒められては……ない気がするな。

 そんな深く考えたことはなかったが……


「でももし、精霊神が凄まじい巨乳だったら、とりあえず揉むだろ?」

「……いえ、恐れ多いことです」

「爆乳なら?」

「ランクの問題ではないです」


 なんだこいつ!? つるぺた派か!?


「それに、私には妻がおりますので」

「はぁっ!?」


 思わず『精霊の審判』をかけそうになった。

 妻!? え、細切りの大根? アッスントの家のベッドに細切りの大根が敷き詰められていて「私のツマです」なんて場面が思い浮かんだ。いやいや「私とツマです」だろ、それじゃ。


「アッスント……脅迫は重大な罪だぞ」

「あのですね……こういうことを言うのは口幅ったいのですが……妻の方から熱烈なアプローチを受けまして」

「せっ『精霊の……』っ!」

「待ってください! やっていただいても問題ないのですが、ヤシロさんが率先して協定を破るのはどうかと思いますよ!?」


 いざという時の切り札を切る場面は、ココじゃないのか!? 今だろ、俺!?


「つか、アルヴィスタンが結婚とかしていいのかよ?」

「この街の人のほとんどがアルヴィスタンなのですよ? 結婚を禁じてしまっては滅びてしまうではないですか」


 あ、それもそうか。


「そういうことを気にするのは、教会関係者だけでしょうね。我々一般庶民は日々精霊神様に感謝する程度ですよ」

「んじゃあ、ジネットも別に気にする必要はないんじゃないのか?」

「そうですね。教会で育った方は多少そのような思考になりがちですが……問題はありませんよ。シスターベルティーナであっても、それを誰かが咎めるようなことはありません」


 ベルティーナも結婚していいんじゃん。結構ゆるいんだな、こっちの宗教は。


「なんですか? そろそろそういうことを考え始めるほどに進展がおありになったとか?」

「ばっ! バカ! ねぇよ、なんも!」

「そうですか……ですがまぁ、時間の問題でしょうね。ほっほっほっ」

「……ふん」


 言ってろ。

 ……………………全っ然意識とかしねぇから! 無視だ無視。


「あの、ヤシロさん」

「うひゃいっ!?」

「きゃっ!? ……ど、どうされたんですか?」


 アッスントと話をしているところへジネットが顔を出す。

 こいつはさっきまで厨房で食材の確認をしていたのだが……もっとゆっくり運べばいいのに……えぇい、アッスント。ニヤニヤすんな!


「今日は随分入念に確認してたな。アッスントがまた小賢しくチョロまかそうとかしてたのか?」

「え、いえ。そんなことは」

「ヤシロさん、酷いですよ。ほっほっほっ」


 くっそ、余裕かましやがって。忌々しいブタめ。


「アッスントさんに言われて、食材の品質を丁寧に確認していたんです」

「品質? アッスント、何か問題でもあったのか?」

「あ、いえ……実はですねぇ」


 アッスントの表情が曇る。

 何か、あったらしい。


「一昨日のことなんですが……大通りの甘味処『檸檬』はご存知ですか?」

「甘味処?」


 俺は首を傾げる。

 と、ジネットがその店の説明をし始めた。


「『檸檬』さんは確か、以前はお茶屋さんだったのですが、ヤシロさんにケーキを教わってから甘味処に変更されたお店ですね」

「すげぇ大変身だな?」

「お茶と一緒にケーキを出すようにしたんだそうですよ」

「あ、お茶屋さんって、喫茶店のことか」


 お茶を飲んで一服するような店だったらしい。

 そこでケーキを出すようになり…………完全に喫茶店じゃねぇか。


「その『檸檬』でですね……食中毒が発生したようで」

「はぁっ!?」


 聞いてないぞ!?

 飲食店で食中毒なんて発生したんなら即座にギルド加盟店に連絡を寄越せよ!

 街ぐるみで対策が必要な案件じゃねぇか!


「いえ、それがですね…………どうも、胡散臭いんですよ」

「……また、虫みたいな案件か?」


 アッスントの表情が濁り、不穏な空気が流れる。

 カンタルチカの虫混入事件。あれは大々的に対策を立て撃退した。そのすぐ後で起こった食中毒騒動か…………


「状況は?」

「『檸檬』のマスターの弁によれば、厳つい男が急にやって来て、『この店の物を食った直後から気分が悪くなった。この店の物は腐っているのか!?』と、大騒ぎをしたそうなんです」

「…………一緒じゃねぇか」

「一緒……とは?」


 アッスントとジネットが揃って首を傾げる。


 その厳つい男――イカ男と呼称するか――イカ男は『気分が悪くなった』と言っている。『具合が悪くなった』『腹を壊した』ではなく、悪くなったのは『気分』だ。

「なんでここのケーキはこんなに美味いんだ、こんチクショウ!」……これでも、『気分』は悪くなっている。そいつの匙加減一つだ。

 で、続けざまに発せられた言葉、『この店の物は腐っているのか』。二つの言葉を並べることで別の意味を持つ第三の言葉を聞く者に想像させる手法が虫のヤツらと同じなのだ。

 すなわち、「この店の物を食って腹を壊した」という、口にしていない言葉を主張している。

 人間は、与えられた情報から解を導き出し、足りない部分を補ってしまう習性があるからな。


「ヤシロ君って、いい人ね」

「私、今恋人いないんだ」

 こう言われたら「ヤシロ君、付き合って」って意味だと思うだろ!? でも違うんだな、これが! これでまかり間違って告白なんぞしようもんなら「え……私、そんなつもりで言ったんじゃないんだけど……」ってドン引きされるのだ。ドン引きだぞ、ドン引き!


 ……まぁ、つまり、あれだ。

 勝手に思い込むのは危険だってことだ。


「とはいえ、放置するわけにもいきませんのでねぇ」


 アッスントが渋い表情を見せる。


「申し訳なく思いながらも生産者の方々に事情を説明して品質面の確認を取っている状況なんですよ。モーマットさんなどは一定の理解を示して協力してくださっているんですが、中には機嫌を損ねる方もいましてね……」


 食中毒が発生した際、疑うべき箇所はいくつかある。


 まず店だ。保存状態や調理場、調理法に問題がなかったか。

 そして、流通業者。クール便を常温で送ったりしてないかってことなんだが……こっちの世界で言うなら、行商ギルドが輸送中に何か悪い物――例えば魔物の唾液とか――に触れさせていないか、とかな。

 さらに遡れば生産者に行き着く。作っている段階で何か悪い病気にでも侵されていないか、食材の中に有害な物質が含まれていないかってところにまで及んでくるわけだ。


 それらがすべて問題なしとなると……まぁ、そういうことだ。

 もっとも、俺は真っ先にそこを疑うけどな。


 つまり――



「てめぇ、本当に具合悪いのか?」



 だが、それを面と向かって言えないのが客商売。接客業ともなれば尚更だ。

 バカバカしくても、調査をやらざるを得ないのだ。


「どうにかなりませんかねぇ……このままでは、また行商ギルドと生産者の間に不協和音が生じてしまいます……」


 チラリ……と、アッスントが俺を流し見る。……そういう目、やめろ。

 ……それからジネット。アッスントと並んでキラキラした目でこっち見るのもやめてくれるかな?


 …………ったく、もう。


「で? 実際被害はあったのか?」

「「ヤシロさん!」」


 声を揃えるな。

 あと、嬉しそうな顔すんな。


「被害という被害はありませんね。金銭を要求されたわけでも、店を壊されたわけでもありません。しいて言うなら、評判が落ちた……くらいかと」

「評判は店の命とも言えるからな。そこを狙われたんじゃ、堪ったもんじゃないだろうよ」

「確かに。私も商人の端くれ。お気持ちは分かります」


 まただ。

 またしても嫌がらせのための行為。金銭目的ではないところを見ると私怨か……

 虫のヤツらと関係があったりするのだろうか……


「ヤシロ、いるかい」


 早朝の陽だまり亭に、エステラがやって来た。

 三十分ほど前に目覚めの鐘が鳴ったところだ。エステラがこんな時間に来るなんてのは珍しい。

 時間を間違っているのでないとすれば……


「腹減って目ぇ覚めちゃったのか? この食いしん坊め」

「変なレッテル貼るのやめてくれるかな?」


 俺とアッスントが向かい合って座るテーブルまで来ると、俺の前に一枚の羊皮紙を差し出す。


「飲食ギルドから急ぎの連絡だよ。甘味処『檸檬』で食中毒が発生したと訴える客がいたらしい」

「情報、遅っ!」

「な、なんだよ!? 気を利かせて朝一で駆けつけたっていうのに!」

「申し訳ありませんね、エステラさん。今、私が話してしまいました」

「なんだよ、もう!」

「エステラさん、どうぞ座ってください。今お茶をお持ちしますね」

「あ、ごめんね、ジネットちゃん」


 ジネットが厨房へと向かい、エステラが俺の隣に腰を下ろす。

 その間俺は羊皮紙に目を通す。


 訴えを起こした客は身長190センチ程度のイグアナ人族。……リザードマンみたいなヤツかな。

 訴えによれば、甘味処『檸檬』で出されたケーキを食べた直後から気分が悪くなったということらしい。

 イグアナ人族から賠償等の要求はなく、ただ一つ、甘味処『檸檬』の閉店だけを強く求めていた。

 甘味処『檸檬』の店主は、食材にも製造過程にも問題はなく、当店に落ち度はないはずだと言っているものの、絶対的な自信はなく、当面は店を閉めることにしたのだそうだ。


 なるほど。何かしら解決の糸口が見えるまでは様子を見ようってことか。

 確かに、度々店に来られて騒がれちゃ堪ったもんじゃないからな。


「けど、なんで『檸檬』なんだろう?」

「あぁ、それはですね」


 エステラの目の前にお茶を置きながら、ジネットが俺に説明をしてくれた。


「マスターさんが奥様と出会われたのが大きなレモンの木の下なのだそうです。……素敵ですね、二人の愛の思い出を冠したお店なんて……」

「あ、いや……そうじゃなくてだな」


 その説明は俺の求めていたものではない。


「カンタルチカが目をつけられるのは分かるんだ。大通りで一番目立つ酒場だからな」


 やっかまれるのは人気店の宿命とも言える。

 ……だから、あいつらの豆腐メンタルももう少しなんとかしなきゃ、この先苦労するだろうな。


「でも、『檸檬』だぞ? どこにあるかすら分からん」

「広場のそばですよ」

「広場から見ると左手側だね」

「マーケットの近くなので、私は行商の途中で休憩によく利用しています」


 ……あれ。もしかして有名店?


「でも、確かに不思議だね。売り上げもさほど多いわけでもないし……注目され始めたのも、ケーキを出すようになってからだからね」

「注目されてるのか?」


 エステラからの情報に、少し引っかかりを感じた。 

 エステラの話を疑っているわけではなく、その情報にこそ、俺の求める答えのカギが隠されていそうな、そんな予感がしたのだ。


「注目はされているね。『檸檬』では、アップルパイを改良してレモンパイを開発したようなんだけど、これが大ヒットしてるんだ」

「なるほど。レモンパイは美味いもんな」

「ご存じなんですか? さすがですね」


 いや、まぁ……他にも色々あるんだぞ、パイって。チェリー、ブルーベリー、杏子。

 割となんでも合うが、レモンパイはさっぱりした風味が他の物では味わえない独特な味だよな。さっぱりとしたレモンクリームが疲れた時にはいいんだよなぁ。


「どんなお味なのか……いつか食べてみたいです」

「んじゃ、行ってみるか」

「本当ですか?」

「エステラ連れてさ、『調査だ』っつって、タダで食わせてもらおうぜ」

「……考えが浅ましいよ、ヤシロ」


 うるさい。

 人助けの一環だろ。おこぼれにあずかるくらいいいじゃねぇか。


「『檸檬』がオリジナルケーキの開発に成功したから、あの付近の飲食店は今、躍起になってオリジナルケーキの開発に励んでいるんだよ」

「いい方向に動いたもんだな。他所と同じケーキだけじゃ客が来なくなるな、こりゃ」


 その点、陽だまり亭には『元祖』という最強の看板がある。安泰だな。

 それに、俺にはまだまだ隠し玉もあるし。

 タルトとか、ティラミスとか、ババロアとかな。


「今、大通りでは『打倒・檸檬!』って、密かに思っている店が多いんだよ」

「それ、客たちは知ってるのか?」

「お客さんは知らないんじゃないかな? 他の店にしたって、大々的に『打倒・檸檬!』とは、言えないだろうし」

「でも、ケーキ通の方の間では噂になっているようですよ。陽だまり亭に来たお客さんからもたまに噂を聞きますし」


 知る人ぞ知る……ってことろか。


「ヤシロは知らなくても当然かもね」

「なんでだよ?」


 エステラが柔らかい笑みを浮かべて言う。


「今四十二区のみんなはケーキに夢中なんだよ。ケーキの情報なら、どんなことだって仕入れたいと思っているのさ」

「そうなのか?」


 エステラの言葉を、街の情報に詳しそうなアッスントに尋ねてみる。


「そうですねぇ。若い女性を中心に、何やら活発な動きがあるようですよ。こう……小さな集団を作ってケーキを食べ歩き、情報交換を行う……とか」


 ケーキサークルでも出来ているのか?

 ガイドブックが無い以上、自分たちの足で情報を稼ぐしかない。SNSも無いしな、この世界には。


「新しい物の登場に浮かれていた熱がようやく落ち着いて、これから探求されていくんだろうね。お客の要求も高くなり、店ももっとレベルの高い物を提供するようになる。成熟すると文化と呼べるものになるよ、きっと」


 未来の展望に、エステラは瞳を輝かせる。


 新しい物…………ケーキ……か。


「エステラ、また一つ、力を貸してくれないか?」

「今度は何をするつもりなんだい?」

「今度は…………そうだな…………トカゲ釣り、かな」



 俺の考えが正しければ、これで釣り上げられるはずだ。






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