24話 小麦のパン、焼いちゃいました
茹でたトウモロコシのちょうど真ん中付近に歯を当て、回転させながらもしょもしょとコーンの粒を前歯でこそぎ落としては黙々と頬張る。
そして口の中がいっぱいになると、もっきゅもっきゅと頬を動かし、マグダは満足そうに息を漏らす。
「…………美味」
「はぁぁぁあああ…………マグダたん、可愛いッス……っ!」
頬をパンパンに膨らませてトウモロコシに齧りつくマグダを、犯罪者一歩手前な面持ちで眺めるウーマロ。
なんだ、この光景。つかマグダよ。お前本当にトラ人族か? げっ歯類の血が混ざってるんじゃないか?
雨は一向にやむ気配はなく、今日も街全体が薄暗い。
三十区での窃盗事件が尾を引き、昨日に引き続いて仕事が中止となったウーマロが朝から陽だまり亭に入り浸っている。
座席のチャージ料とか取ってやろうかな。一時間10Rbほどで。
ヤンボルドとグーズーヤは昼飯を食った後、夜の分の弁当を受け取って帰っていった。
折角の休みなので仕事道具の手入れをするのだそうだ。長雨の影響で道具が錆びたら一大事だからな。
「……少しは見習えよ、色ボケ棟梁」
「なっ!? 失敬ッスね! オイラは普段から手入れを欠かしていないから、こんな長雨でも大丈夫なんッスよ! むしろ、あいつらの方こそ、毎日こまめに手入れするよう見習ってほしいくらいッスよ」
「ふん。偉そうに」
「割と偉いんッスよ、オイラ!?」
だったら、昼間っから幼女を眺めてデレデレしてんじゃねぇよ。
ホント、半径数メートル以上接近禁止令でも出すぞ、コノヤロウ。
「……ヤシロ、これ、とても美味しい」
「そうか。よかったな。すご~く遠くからウーマロにお礼を言っておけ」
「なんで遠くからなんッスか!?」
バカヤロウ、なんかもったいないからだ。
「……ヤシロ」
「ん?」
「………………食べる?」
そう言って、齧りかけのトウモロコシを俺へと差し出してくる。
…………いや、それはちょっと、さすがに…………ここが東京だったら、俺、お巡りさんに取り囲まれちゃうよ。
「ダ、ダダダダ、ダメッスよ!? マグダたん、そんなことしたらファンのみんなが泣くッスよ!?」
主に、お前がな。
でもまぁ、そうだな。
「マグダ。お前は女の子なんだから、あんまり男にベタベタしたり、そうやって食べさしをシェアしたりするのは控えた方がいいぞ」
「……どうして?」
危機感を持たないと、ウーマロのような変質者予備軍に付け込まれるからだ。……とは、言えないよな。
「お前が大切だからだよ」
「…………マグダが?」
「あぁ。だから、これは俺からのお願いだ。聞いてくれるか?」
「………………そう」
何より、公衆の面前でベタベタされると、余計な反感を買いかねないしな。
煩わしいのは御免だ。
俺の言葉が届いたのかどうか、こいつの表情から読み取るのはほぼ不可能に近いのだが……
しばらくの間、ジッと考え込んでいたマグダは、もう一度小さな声で呟いた。
「…………そう」
二度目の呟きは、心なしか、嬉しそうに聞こえた。
顔を見ると、いつもの無表情だったので、俺の勘違いかもしれんがな。
「……善処する」
それは、比較的頑張るつもりがない時の発言な気がするが……まぁ、肯定と受け取っていいだろう。
とりあえず安心だ。
……ウーマロたちの前で、「パンツ、いる?」とか、「脇、舐める?」とか言い出されでもしたら俺は夜道を歩けなくなりそうだからな。
ガテン系にはケンカを売らない。これ、どこの世界でも共通の鉄則。
「お、そろそろいい頃合いかな」
陽だまり亭には時計が無い。いや、あるにはある……と、いえなくもないのだが……
この街では、教会が鳴らす鐘を基準に時間を計っているのだ。
まず最初が朝の四時。その後八時、十二時と続いて、十六時を最後に夜は鳴らない。
で、陽だまり亭ではどうやって時間を計っているのかというと……砂時計だ。
四時間で落ち切る巨大な砂時計がカウンターの一角にドデンと置かれているのだ。
外枠がしっかりと固定されており、砂の入った本体部のみが稼働するように出来ている。
外枠を上下に二等分する位置に鉄製の棒が取り付けてあり、砂時計を固定する中枠と繋がっている。
これによって、瓢箪型のガラス製の砂時計が逆上がりでもするようにくるくると回転するのだ。
砂時計の表面には三本の線が引かれており、それぞれが一時間を表している。
なんでも、一時間刻みで確認出来れば問題ないらしく、そこからさらに細かく分や秒を出すことはしないようだ。
教会の鐘が鳴る度に、ジネットはこの大きな砂時計を回転させている。
なんだか、その光景は凄く異世界というか……ファンタジー映画のワンシーンのようだと、常々思っている。
俺が持っている、振動で充電出来る腕時計の方がはるかに高性能で機能的なのではあるが……最近の俺はこの巨大な砂時計で時間を見る癖がついていた。
砂の減り方でおおよそ何分かくらいまでは読み取れるようにまでなったほどだ。
「あの、ヤシロさん。先ほどから気になっていたんですが……」
せっせと食堂の掃除をしていたジネットが、作業の手を止めて俺のもとへやって来る。
そんなジネットが今着ているシャツには――
『 陽だまり亭・本店
安いっ! 美味いっ! 可愛いっ!
野菜炒め 20Rb~ !!
四十二区にて絶賛営業中!!
年中無休
来なきゃ損っ! 友人・家族を誘って是非お越しくださいっ!! 』
という文字が縫いつけられている。
端切れを文字の形に切って、一個一個を縫いつけたものだ。
というか、エステラに貸してやったヤツの別バージョンだ。
昨日、エステラが帰った後、ジネットが物凄く羨ましそうにしていて……それはもう、こっちが引くくらいに羨ましそうにしていて……料理とか片付けが手につかないくらいに羨ましそうにしていて……それはもはや無言の催促と言うべき羨ましがりようで……根負けした俺が作ってやったのだ。
朝のうちにジネットの服を一つもらって、そこへ文字を縫いつけた。
その際、「え……わたしの服で作るんですか……」と、ジネットが悲しそうな表情を見せていたが……いや、その方がサイズ合うし、俺もそんなに服を持っているわけではないからな。
あと、……もう、匂い嗅がれるのとか、勘弁してほしいしな。
そんなわけで、ジネットは先ほどからずっと、陽だまり亭の宣伝入りシャツを着ているのだ。
……聞きたいことがあるのはこっちの方だぞ。
何がそこまで嬉しいんだ。制服の方が絶対可愛いのに。
今日だけという約束で、本日のジネットは宣伝シャツで過ごすらしい。
明日からは、仕事中は制服を着て、プライベート時に宣伝シャツを着るのだとか。……いや、プライベートでもちょっとどうかと思うけどな。
「で、なんだっけ?」
「あの、ヤシロさんはさっきから何をなさっているんですか? 度々外へ行かれているようですが?」
「拾い食いでもしたんッスか?」
誰が拾い食いで腹を壊してるか。
これだから想像力の乏しいヤツは……そんなだからつるぺたに走るのだ。大きさ、形、弾力、圧力による形状変化などの無限の可能性を秘める巨乳ではなく、「つる」と「ぺた」しかない貧乳に走るのは情報処理能力の欠如を如実に表していると言っても過言ではないだろう。
「裏庭にいいものを作ったんだよ。今日はそれの試運転をしているんだ」
あまりに雨が続き、客足は遠のくわ、雨で仕事を休んでいる農家を回ることも出来ないわで、俺は盛大に時間を持て余していた。
そこで、何か工作でもしようとジネットの許可を得て物置を物色していたところ……とても『イイモノ』を発見したのだ。
そいつの名は……耐火煉瓦。
千二百度の高温にも耐えられる優れものだ。
そのレンガを使って、俺は竃を作ったのだ。
パンでも焼こうかと思ってな。
米が手に入り、毎日美味しいご飯が食べられるようになった。
……と、なると、今度はパンが食べたくなるのが人間だ。
この街のパンはさほど美味くないくせに高い。
黒パンは鈍器に分類されそうな硬さだし、白パンはカッスカスな上に70Rbもするのだ。
正直、やってられない。
で、あるならば、作ってしまうより他はないだろう。
そこにあるもので我慢出来ないならば、それはもう、自分で生み出すしかないのだ。
イースト菌が手に入らなかったので、とりあえずは自然発酵のパンを作ることにした。
日本にいる頃に作り方を教わったことがある。熱湯消毒した器に小麦粉と水と塩を入れ、26℃前後で24時間かけてじっくり発酵させるやり方なのだが、これが難しくて日本では散々失敗したものだ。だが、こちらでは一発で成功した。現在は発酵も完了し、石窯の中で焼いている状態だ。やはり、人間追い詰められると真価を発揮するものなのだな。
あんな石みたいな黒パンは食いたくない! という強い思いが食の神にでも伝わったのだろう。
今から試食が楽しみだ。
上手くいけば、パンをパン屋より安く提供出来るかもしれない。
それに、ちゃんとした石窯を作れば、ピザのようなものを作ることも出来るだろう。
これは、ちょっとした一大ムーブメントを巻き起こしてしまうかもしれない。
物置に保管されていたレンガだが、数がさほどなかったので、今回は小規模な、お試し版のような石窯を作ったのだ。
この窯を利用してもっと大量の耐火煉瓦を作るのも有りだろう。
もしかしたら、『デリバリーピザ・陽だまり亭』としてリニューアルする日が来るかもしれんな。
とにかく、今はパンの焼き上がりを確認するのが先だ。
朝からパンの仕込みや石窯の火入れなど、じっくりと時間をかけて準備してきたのだ。
絶対上手くいっている。
今日、四十二区に、いや、この街、オールブルームに新たなる歴史が刻まれるのだ。
「お前たちを歴史の証人にしてやるよ」
「……なんか、嫌な予感しかしないんッスけど……なに仕出かす気ッスか?」
「マグダ、疲れたろ? 今日はもう部屋で休んでいいぞ」
「わぁっ! 超楽しみッス! ヤシロさんのやることって、凡人には考えもつかないことばっかりッスから! わー楽しみーッス!」
まったく。場の空気の読めないヤツだ。
まぁ、いい。俺の特製のパンを見て驚天動地するがいいさ。
「んじゃ、ちょっと行ってくるな」
俺は傘を手に、食堂のドアを開ける。
と……ドアの前にエステラがいた。
昨日俺が貸した服を目の前で広げて、顔を近付けている。
「…………嗅ぐのか?」
「ぅわあっ!? ヤ、ヤシロ!?」
あまりにも思いがけなさ過ぎる遭遇で、思わず聞いちゃったよ。
いや、これは聞いちゃうだろう、誰だって。
「お前の特殊な性癖に口出しをするつもりはないが、本人の目の前ではやめてくれ」
「バ、バカかい、君は!? だ、だだ、誰が匂いなんか嗅ぐもんかっ!」
お前だ、お前。この匂い嗅ぎ妖怪め。
「ボクは、服の汚れが綺麗に落ちているかを確認していたんだよ。ホントだよ!」
まぁ、そういうことにしといてやろう。
「ホントだからねっ!」
「分かったっつの」
「どうだかなぁ……」
なんで俺が責められてんだよ……
「それで、どこかに行くのかい?」
「裏庭だ」
「…………拾い食いでもしたのかい?」
……こいつらは、まったく。どいつもこいつも。
「いいから中に入って待ってろ。今いいもの見せてやるから」
「……『いいもの』? なんだかすごく嫌な予感がするんだけど?」
「お前ら、俺をどんな人間だと思ってんだよ?」
失敬な。
まったくもって失敬な連中だ。
「ボクも一緒に行くよ」
「いや、雨降ってんだから中入ってろよ」
「大丈夫だよ、傘があるし」
「すぐ戻るから、中入ってろって」
俺はエステラを無視して裏庭へと向かう。
「ちょっと、待ってってば…………ぅわあっ!?」
俺のすぐ後ろで、水の跳ねる音がした。
振り返ると……
「……冷たい」
エステラがぬかるみに足を取られて、水溜まりに尻もちをついていた。
「…………中入って、着替えとけ。な?」
「……うん。そうする」
肩を落とし力なく言うと、エステラは食堂へと入っていった。
「あ、エステラさん。いらっしゃ……どうしたんですか、その格好!?」
そんな、ジネットの素っ頓狂な声が聞こえ、ドアが閉まる。
エステラがどん臭いのか、ぬかるむ地面が悪いのか……足元がぬかるむって、危険だよなぁ。せめて店の前だけでもアスファルトとかに出来ないもんかねぇ。
水はけが悪く、粘土のように粘り、すべる泥に足を取られつつ、俺は裏庭へとやって来た。
以前、椅子を直す際に使用した薪が置かれている付近に簡易的な壁と屋根を設け、雨風を凌いでいる。気分は飯盒炊爨ってところか。
近付くと、小麦の焼けるいい香りがしていた。
じんわりと、温められた空気が肌に触れる。
俺は、火傷に気を付けつつ、竃を蓋する鉄の扉を開いた。
石窯の中には、整然と並べられた、まん丸いパンがいい具合に焼けていた。
その中から一つを手に取り、熱々のパンを一口、口へと放り込む。
………………うん! 美味いっ!
ベーキングパウダーがないから、日本で売ってるようなふわっふわのパンではないものの、ちゃんと発酵しているし、小麦の甘みもしっかりと感じることが出来る。
ちゃんと美味い。そんな感想を抱くようなパンだ。
「よし、これを持って戻るか」
俺は、焼けたパンを持参した籠に入れ、雨に濡れないように籠の上から布巾を覆い被せた。
おばあちゃんの家にお見舞いに行く赤ずきんの気持ちだぜ。
途中で災難に遭わないよう気を付けて、俺は食堂へと戻る。
食堂へ入ると、陽だまり亭の宣伝文句が書かれた服を着ている二人が並んでいた。
……なんだ、このシュールな光景。
「結局またその服を着たのか」
「し、仕方ないだろう!? さっき転んで服が濡れちゃったんだから!」
借りた服を返しに来て、それをまた着ている。
何しに来たんだ、こいつは?
「まぁ、折角だからお前にも食わせてやるよ。陽だまり亭の歴史を変えるかもしれない、新製品をな」
「へぇ。えらく自信たっぷりだね」
「まぁ、奇抜なものじゃないからな。外すことはないだろう」
パンがあれば、サンドイッチやホットドッグなんかも作れる。
メニューの幅が広がるというものだ。
「ヤシロさん。何を作ってきたんですか? 早く見たいです!」
「……期待」
ジネットとマグダがそわそわと、俺の持つ籠を覗き込もうとしている。
うんうん。いい反応だ。
ウーマロも興味を引かれているようで、身を乗り出している。
では、お披露目と行こうか。
「括目せよ! これが、オオバヤシロ特製の自然発酵パンだっ!」
言いながら、籠に掛けた布巾を引き抜く。
鮮やかな小麦色と、柔らかい純白のコントラストが美しい、小さなコッペパンが籠の中にぎっしりと詰め込まれている。
全員の視線が焼きたてのパンに集中し、そして「わぁっ!」という歓声が………………聞こえてこない。
なんだ?
なんか、空気が…………おかしいぞ?
食堂の中が、重苦しい空気に包まれる。
ジネットの笑顔が固まり、エステラは無表情になり、ウーマロは変な汗をだらだらと流し、マグダは虚ろな目をしている。……マグダは普段通りか。
「ヤ……シロ、さん…………あ、あの……」
重苦しい空気の中、恐る恐る口を開いたのはジネットだった。
「こ、これは…………一体?」
「いや……パン…………だけど?」
「どこから、……その、手に入れていらしたんでしょうか?」
「ん? あぁ、俺が作った」
「……っ!? えっと…………どのようにして……ですか?」
「どのようにって…………裏庭に石窯を作って……」
「懺悔してくださいっ!」
いつもの厳しくも優しい口調ではなく、本気の声色でジネットが叫ぶ。
「ヤシロッ! 君は、自分が何をしたのか分かっているのかい!?」
「へ? い、いや……どうも、イマイチ分かっていないようだ……」
「…………ヤシロ、犯罪者」
「どぉいっ!? なんだよ、マグダ!? 人聞きの悪いこと言うなよ!」
「いや、人聞きとかじゃないッスよ……これは…………マジで、シャレになんないッス」
なんだ?
なんなんだよ?
意味が分からん。
「エ、エエ、エステラさんっ、ど、どどど、どうしましょう!? どうしましょう!?」
「いいから、一度落ち着くんだ、ジネットちゃん!」
「……ヤシロ…………どうしてこんな真似を」
「ちょっ! 誰か説明しろよ! 俺が何したってんだよ!?」
ただならぬ雰囲気に、俺も少しイラッとしてしまって、つい強い語調で怒鳴ってしまった。
ジネットが怯えたような瞳で俺を見て、ウーマロは今にも気絶しそうな青い顔をして、マグダは相変わらずボーっとした目をしているし…………こういう時は、エステラに聞くのが一番だ!
「エステラ、教えてくれ! 俺の何がマズかった!?」
「ヤシロは知らなかったんだろうけど…………この街でパンを作ることは重罪なんだ」
な…………ん、だと?
「パンを、作るのが…………重罪?」
意味が、全く、理解出来ないんだが?
「おまけに、パン窯の密造も罪だ」
「はぁ!?」
なんだそりゃ?
なんの罪に問われるってんだよ。
俺がパンを焼いたら、誰かに迷惑がかかるってのか?
「と、とにかく! シスターに相談しましょう!」
ジネットが大慌てでカウンターを超え厨房へと姿を消す。
「ウーマロ。すまないが、今回の一件、他言無用に願いたい」
「い、言えるわけないッスよ。陽だまり亭はもはやオイラたちの憩いの場ッスし、何より、こだわってリフォームした思い入れのある場所でもあるッス。それに、ヤシロさんは悪意があってやったことじゃないッスし、きっと許されるはずッス! オイラは、そう信じているッス!」
正直、いまだに俺の頭は状況を理解するには至っていない。
だが……
どうやらとんでもないことになりそうだという危機感だけはひしひしと感じていた。
「もしかして、パンギルドとかの契約に違反してるとか、そういうことか?」
「ギルドじゃないよ。そんな小さな括りの話じゃない」
「え…………じゃあ……?」
吐き出す言葉も選べないうちに、俺はエステラに詰め寄られ言葉を封じられた。
襟首を掴まれグイッと引き寄せられる。
鬼気迫る視線が俺を睨む。
「パンの利権は、教会が握っている」
「教、会……?」
「この街において、各区の領主よりも、中央区の王族よりも、他の誰よりも権力を持っているのが教会だ。この街のルールは精霊神を頂に掲げる教会がすべて取り決めている。教会に逆らえば、この街では生きていけないんだよ」
「そ、それがパンとなんの関係が……」
「パンを焼くには、教会の許可が必要なんだ。許可を得ても、月に二度、教会の石窯を使って、教会の指示のもとでなければパンは焼けない。当然、パンを焼くには相当な税金が課せられる」
パンを焼くのに許可がいるだと?
「足りなくなったらどうするんだよ?」
「教会にお願いするのさ。……もっとも、それには相当な『寄付』が必要になるけどね」
「……拝金主義、ここに極まれりだな」
「滅多なことは言うもんじゃないよ」
エステラの指が、俺の首にあてがわれる。
「ボクが熱狂的な信者だったら……君は今、命を落としていたところだよ?」
……この指が、もしナイフだったら…………
ゾッとするね。
しかし……なるほどな。
主食であるパンは、生きていく上で欠かせないものだ。
権力を笠にそいつの権利を握ってしまえば、人々はさらに教会へ逆らうことが出来なくなる。パンがなくなれば、人は飢えてしまうからだ。
そうして増大した権力を盾に、また新たな権限を振りかざす……
嵌り込んだら二度と抜け出せない厄介なシステムだな。覆すには住民の一斉蜂起でもなけりゃ不可能だろう。そして、ここの住民にそんなつもりはない。
「パンと窯は、教会の監視下にある貴重な品物だ。密造、密輸出入、密売は厳罰に値する」
「……死をもって償えってか?」
「もっとも、多額の寄付をすることで免罪されることがほとんどだけどね」
罰金じゃねぇか。
ウチの島を荒らしたんだからきっちり落とし前つけろよと……どこの筋のもんだ。断ったら強面の若い衆に事務所にでも監禁されんのか? 笑えねぇな。
腐敗政治だ。この国の政治は腐ってやがる。
「それが、この街のルールだ。ユニークな発想で好き勝手振舞うのは結構だが……逆らっちゃいけない相手に関してはもっと知識を広げることだね。……ボクたちでは庇いきれないことだって、この街には数えきれないほどあるんだから」
……なんて街だ。
ローマ帝国かよ。
貴族様が何よりも尊重され、平民は唯々諾々と貴族のきまぐれに振り回されてろってのか。
やっぱ、この街の神は好きになれそうもないな。
もし全知全能たる神が真に公正で慈しみの心を持っているのであれば、金と権力にどっぷり浸かっている教会のトップから順に粛清していくべきだろう。
自分の足元から漂ってくる腐敗臭に気が付かないってんなら、そいつの鼻がひん曲がっているか、そいつ自身が同じ匂いを発するほどに腐りきっちまっているか、そのどちらかだ。
さて、この街の神はどっちなんだろうな。
「ヤシロさん! 今すぐこれを着て教会へ行きましょう!」
慌てた様子で戻ってきたジネットは、なんだか御大層な装飾のポンチョみたいな服を身に纏っていた。法衣とでもいうべき衣装なのだろうか。
ジネットの邪気のなさ過ぎる顔と、この天気が相まって、ちょっとオシャレなテルテル坊主に見える。……それを俺にも着ろというのか?
「これは罪を清める聖法衣です。これを着て、真摯に懺悔をすれば、きっとアルヴィ様もご慈悲をかけてくださいます。さぁ、ヤシロさん。わたしもお供いたしますので、教会へ行きましょう!」
本当に、ジネットは敬虔なアルヴィスタンなんだな、と、そんなことを思った。
ふと見ると、ウーマロが床に膝をつき、手を組んで祈りを捧げている。こいつもアルヴィスタンなのか。
で、マグダはというと……トウモロコシを齧っていた。
あぁ、なんか落ち着くわ、その感じ。
「教会の信者じゃなくても、謝りに行った方がよさそうだな」
「この街で暮らしていたいのならね」
「嫌だと言ったら?」
「ジネットちゃんに迷惑がかかる」
……嫌な返しをしやがる。
「分かった。懺悔でも罰金でも……おっと、『寄付』だっけか? とにかくなんでも言う通りにするよ」
権力に刃向うのは、その資格を持った者だけがするべきだ。
いくら己が正論を振りかざそうと、路傍の石ころなみに無力な市民には何もすることなど出来ないのだ。盾突けば不幸になるだけだ。
……ただ、その怒りを静かに蓄えることは出来るけどな。
その静かな怒りが満タンまで溜まり、針を振り切った時……権力者は己の過去を顧みてその言動を審議にかけられるのだ。
酌量の余地があればよし……なければ…………
「ただ、その前に確認したいことがある。今後、同じ過ちをしないためにも、どうしてもやらなければいけないことだ」
「何をする気だい?」
「パンの定義を調べたい。どこまでがパンに含まれるのか……何がよくて、何がダメなのか」
パンがダメならナンを食べればいいじゃない。
……ってのは、誰も言ってはいないが、「パンじゃないから悪くないもん」が通用するのかどうかを知っておきたい。
「じゃあ、持っていけるものだけ持っていって、向こうで説明をしよう」
「分かったよ……」
あぁ、なんか久しぶりだな、この重い気持ち……
職員室に呼び出された時と同じ気分だ。あ~ぁ。
仕方ないので、俺は焼いたパンと、仕込んであるパン種を持って、教会へと向かうことにした。
「ウーマロ。悪いが、マグダと一緒に留守番をしていてくれないか?」
「え、いや、それはいいッスけど……お客さんが来たらどうすればいいんッスか?」
「笑顔で対応しといてくれ」
「いやいやいや、無理ッスよ!?」
「……ヤシロ」
「ん? なんだ、マグダ」
「……マグダも一緒に行く。ヤシロ、放っておけない」
「そうか?」
「……そう」
「ん~……じゃあ、しょうがねぇな。ウーマロ。一人で留守番よろしく」
「意味分かんないッスよ!? じゃあ、お店閉めればいいじゃないですか!」
「バカヤロウ!」
俺はダダをこねるウーマロを叱責し、エステラの胸元を指さす。
そこには、大きな文字でこう書かれてあるのだ。
『年中無休』
「店を閉めたら嘘になるだろうが」
「今日はもう、一回開けたんだからいいじゃないッスか!? 休業じゃないッスよ!」
「もしお客さんが来て、店が閉まっていたら悲しむだろうが!」
「店が開いてても、店の人が一人もいなきゃ同じッスよ!」
えぇい、この分からず屋め!
俺は憤りながらも、そっとマグダの背中を押す。
ぽんと、一歩前に踏み出したマグダは、ウーマロに向かって無垢な瞳を向ける。そして、こてんと首を傾げて窺うような声で言った。
「…………ダメ?」
「卑怯ッスよ、ヤシロさんっ! それは卑怯ッス!」
マグダの背中をぽん。
「…………ダメ?」
「あぁっ! バリエーションの少なさが逆にキュンとくるッス! 分かったッス! その代わり、出来ることしか出来ないッスからね! それと、早く帰ってきてくださいッスよ!?」
うむうむ。
やはりウーマロはいいヤツだ。
今度マグダの似顔絵入りハンカチでも作ってプレゼントしてやろう。
「じゃ、行くか」
「……これから懺悔に行く人間の顔じゃないよね、君は」
エステラがなんでか凄く疲れて見える。
顔でするもんじゃないだろう、懺悔ってのは。
妙に神妙な面持ちのジネットに先導され、俺たちは並んで教会へと向かった。
雨の街には誰の姿もなく、重い空から騒がしい雨粒が降り注いでいるだけだった。
なんだか、この街がこのまま水の底に沈んでしまうんじゃないかという不安にかられる空模様だ。
教会に着く頃には、雨と泥で足元がぐちょぐちょだった。
談話室に入ると、ベルティーナが出迎えてくれた。子供たちは今、お昼寝の時間らしい。
ジネットが神妙な面持ちでベルティーナに事情を話す。
……なんかドキドキする。
もしかして、すげぇ怒られるんじゃ…………『寄付金』とか取られるのかなぁ…………
だとしたら、どうにかして工面しなきゃなんねぇな……ったく、そういうことなら最初から言っとけっつの。後出しで「それダメだから。はい、罰金」とか、無しだろ、どう考えても。
そんな不満がむくむくと胸の中で頭をもたげ始めた頃、ベルティーナが俺を見た。
あまりにも美し過ぎる、宝石のような瞳が俺を見据える。
心臓が軋みを上げそうなほど締めつけられる。
なんだ、この緊張感…………シスターの気迫って、こんなに凄いのか……
「……ヤシロさん。話は伺いました」
「は…………はい」
口の中から唾液がなくなり、からからに乾く。
言葉が喉に引っかかって上手く出てこない。
この威圧感…………生活指導の体育教師といい勝負だ。
「もぅ、ダメじゃないですか。メッ!」
「………………は?」
「でも、知らなかったのでしたら、しょうがありませんね。今回は反省と懺悔をもってその罪を許します」
え…………そんだけ?
「あ、あの……いいんですか、シスター」
「えぇ、いいでしょう。ジネットも、ヤシロさんの分まで心を痛めているようですし……悪意があってのことではないと、誰の目にも明らかですので」
「…………っ!」
ベルティーナの言葉を聞いて、ジネットの瞳に涙が浮かぶ。
「シスター…………ありがとうございますっ!」
勢いよく頭を下げ、その拍子に涙の粒が宙に舞った。
キラキラと輝く光の粒は、ジネットの周りを飛び交った後、静かに床へと降り注いだ。
「ヤシロ」
そっと、エステラが耳打ちをしてくる。
「ジネットちゃんの涙に感謝するんだね。今回はあの輝きにかなり助けられたと思うよ」
「泣いて許してくれるんなら、いくらでも泣いてやるさ、俺だって」
嘘泣きと反省をしているフリは大得意だ。
「涙の純度が違うだろう、君とジネットちゃんじゃ」
「おいおい。ジネットの涙を悪く言うなよ」
「なんで自分が勝ってると思い込んでるんだい? 図々しいにもほどがあるよ?」
エステラが呆れたようにため息を漏らす。
とはいえ、一応礼くらいは言っておくべきだろうか。
あの、純粋な涙に対しては。
「ジネット。すまなかったな……ありがとう」
「いえ。わたしが最初にお伝えしていなかったのが悪かったんです」
「いや、それはないだろう」
「いいえ。ヤシロさんは、この街のことを何も知らないとおっしゃっていたのに……こんな基本的なことを伝え忘れていたなんて…………申し訳ありませんでした」
なんでか謝られてしまった。
「それこそお門違いだ。お前が悪いなら、知らなかったとはいえ軽率な行動をした俺も十分悪い。いいから頭を上げてくれ」
「はい。あとで一緒に、懺悔しましょうね」
くそ……まんまと罪を認めさせられてしまった。
「こんな分かりにくい制度が悪い」で逃げ切るつもりだったのに……
これはアレか? 新手の誘導か?
まんまと乗せられたんじゃないだろうな、俺は……
ジネットめ……やっぱり、こいつはどうも他のヤツとは勝手が違う。
用心するに越したことはないな。
「それで、ヤシロさん」
ベルティーナがたおやかな笑みを浮かべ俺の前へとやって来る。
「作ったパンを持っていらしたんですよね?」
「あぁ、コレがそうだ……あ、いえ。……です」
タメ口を利いた瞬間、菩薩のようだった瞳がきらりと鋭い輝きを放った。
この人の前では礼儀正しくしなければいけない。……寿命を縮めたくなかったらな。
「見せていただいてもよろしいですか?」
「あ、どうぞ」
パンの入った籠をベルティーナへと渡す。
籠に掛けてあった布巾を取り、中を覗き込んだベルティーナは「まぁ」と感嘆の声を漏らした。
「見事な出来栄えですね。パン職人ギルドの方も形無しなほどです」
大絶賛である。
が、あまり喜べないのは、これで犯罪者になりかけたからだろうな。
「香りもいいですし、とても美味しそうですね」
ベルティーナの楚々とした口元から、輝く滴が優雅に滑り落ちていく。
って、よだれ垂らしてんじゃねぇよ!
「教会へ持ち込み、罪を祓ったものは精霊神様のお導きにより、世界の輪廻へとその魂を還元していくのです」
「……えっと、つまり?」
「もったいないので食べませんか?」
こいつ、本当に食い意地が張ってんな!?
いいのか、シスターがこんなんで?
一応、密造扱いなんだろ、コレ?
そんな嬉々として食らいついて、お前らの崇める精霊神様とやらはへそを曲げないのか?
「食べ物に罪はありません。また、食べ物を粗末にすることは生き物をイタズラに傷付ける行為に等しく、とても罪深いことです。また、美味しそうな物を前におあずけをするのも等しく罪深いことだと私は思います」
「一番最後のが本音ですよね……?」
まぁ、捨てるのも癪だし……
「では、召し上がれ」
「よろしいのですか!?」
いや、よろしいも何も……この流れで断れるかよ……
「申し訳ありませんねぇ。なんだか催促したようで……」
してたよ!? メッチャ催促してたから!
マグダでもそこまで露骨にはしないレベルの催促だったよ!
ベルティーナは、パンに齧りつくと、幸せそうに相好を崩した。
「あぁ……これは紛れもなくパンですねぇ。完全にアウトです。罪深いことです。美味しいです」
最後に本音がぽろりである。
いや、まぁ、どうせなら喜んで食ってくれた方がいいんだけどさ……
「じゃあ、どこからアウトじゃなくなるんだ?」
「パンはダメですよ」
「ナンは?」
「……『なん』?」
「あと、ピザとか」
「……『ぴざ』?」
「小麦を石窯で焼くというのは同じだが、パンとは違うと思うんだが」
「難しいところですね。私はその『なん』や『ぴざ』というものを存じ上げておりませんもので、なんとも言いがたいところです」
「とは言っても、口で説明するのは難しいんだよな……」
ナンを説明するにしたって、平べったいパンみたいなやつで、カレーをつけて食べる、くらいのことしか言えない。
さて、どうしたものか……
「では、試しに作ってみましょう」
「おい! 密造問題どうなった!?」
作っちゃダメだろう!?
「悩める子羊の心を救済するのもまた、教会の尊い役割なのです」
悩んでるのはお前だろうが。
「どんな味かなぁ?」「食べたいなぁ」と顔に書いてある。
「じゃあ、陽だまり亭に来てくれれば、石窯を使って色々作りますよ」
「教会の外となると、揉み消しが困難に……もとい、神の慈悲が届きにくくなりますね」
「じゃあ、残念ですがなかったということで……」
「しかしながら、空がこのような分厚い雲に覆われていては、精霊神様のお目も塞がれお目こぼしをしてくださるかもしれませんね」
やりたい放題か!?
「では、今回に限り、特別に、悩める俺の疑問を解消するために石窯の使用を許可してくれると?」
「許可は出来ません。一介のシスターがそのような権限を行使するなど、恐れ多いことです。ですが、若さゆえの行き過ぎた行動力を、先人として寛容に受け止めるくらいのことならば、私にも出来ます」
「……つまり?」
「やるだけやって、あとでまとめて懺悔してください」
この人……シスターやらしといていいのか?
つか、美人だから何しても許されるとか思ってないだろうな……
「……シスター…………」
ジネットが、困った人を見るような目でベルティーナを見ている。
なるほどな。この人は昔からそういう人だったんだな。ジネットの表情でよく分かったよ。
「もう、ジネット。そんな顔をしないでください。それにほら、書いてあるではないですか」
ジネットのこの反応も慣れたものなのだろう、ベルティーナは意に介さぬ風に笑顔でかわし、エステラが着ているシャツへと指を向ける。
「『友人・家族を誘って是非お越しください』と。私は、ジネットの家族であるつもりですけれど、ジネットはそうではないのですか?」
「い、いえ…………あの……」
そんなことを言われると、ジネットはもう何も言い返せなくなるのだろう。
反論の言葉も出てこず、困り顔で俺へ視線を向けてきた。
「これは、俺に対する救済だ。ベルティーナさんは人道的な支援活動を行おうとしているんだ。……ということでいいんですよね?」
「はい。さすがはヤシロさんですね。物分かりがとてもよいです」
ベルティーナは満足そうに笑うと、執務室へと入っていった。マントを取りに行ったようだ。
「ベルティーナさんが不在で、昼寝から起きた子供たちが驚かなきゃいいけどな」
「あ、それは大丈夫だと思います……」
何気なく漏らした俺の懸念に、ジネットが困り果てたような表情で答えをくれる。
「よくあることですので」
シスターベルティーナ。
俺が思っている以上に、奔放な性格のようだ。
俺、なんだか今後、教会の罰なら上手いこと言って逃げられそうな気がする。
ベルティーナを餌付けしておけば、いろいろ便宜を図ってくれるんじゃないだろうか……
そんな、食い意地と信仰心を天秤にかけると若干食い意地が勝りそうなシスターベルティーナを伴い、俺たちは大雨の中を歩いて陽だまり亭へと帰ってきた。
入り口付近は人の出入りが多いせいもあり、他の場所よりも大きな水溜まりが出来ていた。少し土がへこんでしまっているのだろう。
そこもなんとかしなきゃなぁ、などと思いながらドアを開けると――
「ヤシロさん! みなさん! 待っていたッスよっ!」
――ウーマロが勢いよく出迎えてくれた。
「お客さんが来ちゃって、困ってたんッスよ!」
「客?」
こんな大雨の中、変わったヤツもいるもんだ。
と、ウーマロの背後へ視線を向けると……そこに、一組の家族がいた。父親と母親、そして息子と娘が一人ずつ。全員、丸い顔に丸い耳をつけて、全体的に細長い、イタチのような姿をしている。
そんなイタチのような可愛らしい顔をしたその一家は、みな背を丸め、俯き加減でテーブルを囲んでいた。
不自然なまでの陰気さに思わず身を引いてしまった。
いくら長雨が続いたからって、一家総出でそんな陰鬱なオーラを放たなくても……
「あ、あのっ!」
俺が陰鬱オーラに当てられ固まっていると、俺の後ろからジネットが明るい声でその家族に声をかけた。
「いらっしゃいませ。ようこそ陽だまり亭へ!」
聞き慣れたいつものフレーズに、その一家は顔を上げ、ゆっくりとこちらを向いた。
そして、消える前のろうそくの火のような儚げな瞳で、こんなことを言ったのだ。
「すみません……クズ野菜の炒め物、一人前だけですが……よろしいですか?」
その光景を目の当たりにして、俺は心の中で思わず叫んでいた。
一杯のかけそばかよっ!?
――と。
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