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「・・・やっぱさむい・・ね・・・」



あの寮の周辺ほどではないけど、私の住むこの町だって十分に田舎だと思っている。いや、田舎は田舎だけど、それ以上に寂れた町。色々ともう終わってしまった町。



一面田んぼと山ばかり



というわけではないけど駅前通りはいつも人通りは少なく、商店街はシャッターだらけ。


でも私はこの町がそれなりに好きだった・・・・

そもそも生まれた町を心からキライになれる人はそう多くないと思っている。



家のそばを流れる小さな川に添ってだらだらと歩いた。川は浅い。そして、チラチラと水面に浮かぶのは星や月。

私は、この川がずっと昔から変わっていないことを知っていた。


だからこれからも、例え私が誰かと結婚しても、私の家がなくなっても、子供の頃遊んだ空き地が駐車場になっても、この川だけはこれからもずっと変わらずにさらさらと流れていくんだろうと・・・・

不思議とそんな確信が私の中にはあった・・・



そんな、未来のことなのにノスタルジックな気分に酔って歩いていると

いつの間にか駄菓子屋の前まで来ていた。


シャッターがピシャリと閉まっているのは別に夜だからではない。

この店は、数年前におばちゃんが病気で伏せたのをきっかけに既に閉店してしまっている。息子さんが帰ってきて後を継ぐという噂が近所で流れたが結局そうはならなかった。子供の時から見慣れた店の看板はとっくにしまわれていて、今では自動販売機だけが光々と暗がりの中に浮かんでいる。



「・・・・」


その自動販売機で熱いコーヒーでも買おうと思ってポケットをまさぐるが、小銭入れを部屋に忘れてきたことに気付く。

「あーあ、コーヒー」


諦めて歩き出そうとすると遠くからチカチカと自転車のライトが見えた。

「ん??」


その光はだんだんと私の方に近づいてくる。


暗くてよく見えないが、近づいてくるということは知り合いなんだろうな

と思う。



案の定、自転車は私の横で止まった

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花冷えの千日間 劣等丸 @polpol46

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