第4話 不思議と同級生
「なにしにきたの?」
部屋の扉を開けた本人に投げ掛ける
「お礼をしにきた。」
私の唾液を飲んだ人。実帆だ。茶色のショートカットですこしボーイッシュな気がする。しかし表情が変わらない。
「は?私に?」
なにをお礼を言うことがあるのか、普通だったら恨まれる存在だ。友達四人も転校させた張本人である。実帆にはばれているだろう。
「転校させてくれた。ありがとう」
頭を下げる実帆。多々羽は私と実帆を交互に見ている。
「ちょっと来て」
私は実帆を廊下へ連れていく
「どうしたの?」
首をかしげる実帆はすこし不気味だ。
「いや。多々羽、あの子は私が理事長の娘だって知らないから。」
「そう」
ほんとに生きてるか不安になるくらいぴくりとも顔が動いていない。
「何故お礼なんかを?」
「転校させてくれたから」
…ループしてる。
「何故転校させてくれたからお礼するの?」
「あんなやつらと絡みたくないから」
「え…じゃあなんで絡んでたの」
「最初楽しそうだと思ったから」
う~んどうにもロボットと会話してるみたいだな…
「ふーん。それだけをいいに来たの?」
「そう。それじゃあ。」
左手を真上に上げて左に90℃に下ろして真上に上げるを繰り返している。?
「なにしてるの?」
「手を振ってる。人と別れる時は手を振るんでしょ?」
「まぁそうだけど…」
実帆は工事現場に置いてある車線を変えるときの人形みたいだ。
「じゃあな」
私が手を降ると実帆は帰っていった。
ほんとなんだったんだ。
「おかえり、誰だったの?」
空き教室に入った早々喋りかけられる。当たり前かなにも説明してない
「えーと…実帆ってゆうんだけど……」
私の言葉は途中で遮られる
「実帆??あー!!」
いきなり声を上げる多々羽の声はでかい。
「うるさいな、でどうしたの?」
「ごめんなさい。なんかみたことある顔だと思ってたんですけどなかなか分からなくて…実帆って上乃実帆ですか?」
「ごめん、上の名前知らない」
「へっ?」
「友達が呼んでるところをきいただけだから」
「それで教室へ来るもんですかね…」
「まぁそれはいいじゃない、で実帆がどうしたの?」
「上乃さん変わりすぎててよく分からかったなぁ。上乃さん私と中学一緒なんですよ。中学2年の途中で転校しちゃって」
しょぼーんとなって体を机に預けている。私はひとつの疑問をなぎかける。
「ってことは多々羽も転校生?」
「はい、遠くから。まさか中学時代の人に会えるなんて」
多々羽は笑顔になっている。多々羽は友達が少ない方だと思っていたが居たんだな
「決して友達ではなかったんですけど」
「っておい、完全今の流れ友達だと思ったぞ」
「普通に喋る仲ではありました。ただ学校の外で遊ぶなんてことはなかったんですけどそれは皆でしたし…。学校だと仲良かったですよ!」
「にしては覚えられてなかったけど?」
ぐさっと音が聞こえたかと錯覚するぐらいに多々羽は椅子に張り付いている。
「いいんです…私はどうせ、脇役ですし」
あーめんどくさいところに入ってしまった。私は強引に話を戻す
「それで、実帆はどんなやつだったんだ?」
意外な実帆の姿が明らかとなる。
「そうです、上乃さんはクラスの委員長で髪も黒くて長くて綺麗でそれでいて皆から憧れの存在だったんですよ~」
目がキラキラしている。多々羽も憧れていたのかもしれない。
「今とは全然違うな。想像が出来ない。」
「そうですね、私のことも忘れられてましたし。」
語尾が強く強調するが私は無視をする。
「なにかあったのか、自分の中で何かが変わったのか分からないけどそっとしてた方がいいかも」
「なにかあったのか分からないですけど、調べてみる価値がありそうですね」
同時に出た言葉は同じ言葉を放つとは限らない。
「え?関わるの…?」
「関わらないんですか……?」
「関わらないよ?確かに実帆が委員長だったってのは気になるけど、なにか自分の中で変わったんだよ」
「ほら気になるんじゃないですか、素直になりましょうよ」
適当にあしらう
「分かった、分かった、気が向いたらね」
絶対気が向かない台詞なのだが
「やった。約束ですよ」
素直な眼差しを向けられ罪悪感を感じた、お昼だった。
さて、多々羽とご飯を食べて、午後の授業をうけてすぐ家に帰る。多々羽は何かあるらしい。別に一緒に帰るわけではないのだけど
家についたら、マキナが出掛けるところだった、マキナがゴールドの髪を揺らしながら走ってくる。
「やぁーみぃたん、おかえり」
「ただいま。どこか出掛けるところ?」
「ぬふふ、買い物だよ、一緒に来る?」
「別にやることもないしいいよ」
私はマキナと一緒に歩く。外に出るときはメイド服ではなく黒いワンピースにジャケットを着ていてメイド服とは違う印象をうける、マキナは結構暗めの服を好む。全身真っ黒でも様になるから羨ましい。
「ご飯なにがいい?」
「んー特に無いわ」
一番困る答えを投げかける
「じゃあローストビーフをメインに何か作ろう」
張り切ってるマキナはなにかを感じる
。ふと
「白咲さんはどれだけ、マキナちゃんの好きなんですか……」
今日の出来事を思い浮かぶ。マキナを好きか。そんなはずない。まぁメイドとしては好きだけど、そのことを言ったのか多々羽は?
「みぃたん聞いてる?」
頬を膨らませて顔を近づけてくるマキナ。
「聞いてない」
左手で頬をつつく。柔らかい。変態だってことを忘れてしまう。
「もう、昨日はくろなたんが一緒であんまり喋れなかったんだから喋ろうよ~」
「そうゆうキャラじゃないでしょうが」
次は頭にチョップをいれる。目をバッテンにしたマキナは年下にしか見えない。
「もう、みぃたんのばか」
「はいはいそれで」
マキナの会話は他愛もない会話で二人の時間で流れる会話には心地よかった。
スーパーに着くとここは馴染みの店で父親が経営している店でもある。父親は多数の経営者で土地持ちである。ここのパートさんは仲良くていつも雑談してしまう
「こんにちは」
いつものパートさんに挨拶する。
「こんにちは、今日も仲良いわねー手なんか繋いじゃって!」
私たちは会ってからずっと手を繋いでいる。どっちからともなく繋いでいたと思う。昔から手を繋ぐのは習慣になっていて、癖みたいなものだ
いつもならマキナが
(ふふふんありがとうございますー)
なんてあしらうのに今日はなにも言わない。どうしたのだろうか
「はいはい、買い物するからね、じゃあね」
と私の方があしらう。
「どうしたのマキナ?」
「んえ?なにが?」
声が多少震えてた。気がする
「いやなにもない」
私は特に何も踏み込まない。そうやって過ごしてきたし、マキナも踏み込んできてないからメイドと主人の関係はこうなんだろうか。私はマキナのことを知りたいと思う。
その一件が私たちのなにかを変えるなんてことはなく。食材を買って話をしながら帰る。
数日がすぎたある日
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
マキナに挨拶して家を出る。
完全に人見知りが解けた多々羽。
「おはようございます。美礼さん、朝は眩しいですね」
今日は日差しが強い。そろそろ夏がくる、汗をかくとマキナがうるさくなるんだよなぁ…それだけで夏が嫌だ…
「そうだな、もう夏か」
マキナの言動を思い出して顔が嫌な顔になっていたのだろう。多々羽が
「夏嫌いなんですか?」
「嫌いではないが…ただ」
これは言っていいのか…微妙なんだが、一応多々羽はマキナの美少女好きは知ってるからなと迷っていたら
「あーマキナちゃんですか?」
「正解。」
告げると察した多々羽はあぁと頷くだけだった。
学校に着くと廊下に実帆がいた。声をかけてみようか
「よう」
「おはよう」
抑揚のない声が返ってくる。んー機械と喋ってるみたいだなあ
「おはよう、クラス違うんだな」
「はい」
会話が続かん…続けようとしてないからな
「じゃあな」
「はい」
また工事現場の人形のように手をふる実帆。多少気になってきたな、ほんとに実帆は委員長だったのか。調べる手立てはないからあれだが
お昼はほとんど多々羽と食べている。
あいつらを転校させたらなんか日常が変わった気がする。そんなことはないのだろうけど
「実帆って具体的にどんなやつだったんだ?」
少し考える多々羽。
「そうですね、皆から好かれてて、真面目で、憧れの存在でしたかね。」
「今とは似ても似つかないな。」
素直な感想をつげる
「だと思います、私も最初分からなかったですからね。」
最近目が見えてる多々羽も会ったときと違う印象がある。
「だよな。皆悲しんだんじゃないか?」
「そうですね、多分悲しんだと思いますよ」
??
なんで多分なんだ、普通お別れ会みたいなことやるんじゃないか?皆から好かれてた
ぶーぶーぶー…ぶーぶーぶー
「なにかなってるぞ?」
多々羽は鞄からスマホを取り出すが多々羽のスマホはマナー音はなっていない。私か
スマホを取り出すと画面には父となっていた。なんだ?多々羽になれってごめんといって廊下に出る
「もしもし、どうした」
「よぅ、頼まれてくれねえか」
「早いわよ」
父親の頼み事とは、父親が持ってる土地を他の人に貸してるんだけどその土地の例えばマンションだったらクレームの処理やマンションの掃除。一軒家なら隣人からと問題の解決などをたまに私に回すのだこの父親は
「丁度近いんだからいいじゃねえかよ」
「次はどこよ」
「隣の町のとある一軒家だ。なんか異臭がたまに強いときがあるらしいんだ。後は頼むぞ」
「分かったけど午後からだからねあとちゃんと給料出しなさいよ」
「ああいいぞ、任せとけ」
「じゃあね」
「じゃあな」
父親との電話はこんなものだ。
「誰だったんです?」
「親だよ」
へぇーって顔をしている。
「そいえば多々羽はどこから転校してきた?」
「3県先の中島中学校ですよ。言っても分からないと思いますけどでも嘉川先生の後輩です」
その通り。あまり知らない中島中学校も嘉川先生も
「まぁ転校してきた時に嘉川先生が喋りかけてきて知ったことなんですけど」
とゆうことは
「実帆も嘉川先生の後輩なのか、なんか繋がってる気がするな。」
「なわけないじゃないですかー偶然ですよ」
まぁ考えすぎか。
「多々羽はどんな中学生だったんだ?」
「わ、わたしですか!?私は今と変わんないですかね…友達も少なかったですし、クラスの中心ではなかったですね」
頬をかきながら模範解答を告げる。照れることなんてないと思うが
「じゃ、じゃあ美礼さんはどうだったんですか?」
その問題について私は答えを告げる
「ひみつ」
盲目少女と美人な私 香花 @love1ayase
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。盲目少女と美人な私の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます