人嫌いの物好き、ゾンビものの新天地がここに。

 工学単語萌えを的確にすくいあげ、かつ材料加工職人による材料への愛に似た感情の丁寧な汲み取りがうまく表現されています。
 この工学萌えというのが一般にはひどく無骨に見えてしまい、どうしても第一印象が愛らしさとかけ離れてしまうところです。そこをあくまでもよくわからない存在として登場させることによって、意味深な美意識の象徴として成り立たせることに成功しています。
 これは工学的な曲線美と直角美の歪曲表現として読み取れ、まるで美しい建築物を眼前に突きつけられたような錯覚さえ覚えます。

 工学萌えとしましたが、一方で人間の扱いが日本文化における新興宗教の扱いも相まってとても難解です。わかりやすい人間らしい愛らしさを持つ鋼鉄の迷惑に対し、颯太の知らないことばかり提案する翔太や悠太と、新興宗教鋼の絆は不可解な理由で鋼鉄の迷惑を捕まえようとするなど、人間側は理不尽です。この対比を人嫌いの物好きと評させていただきました。
 ゾンビものとさせていただいたのは、その対比の暗喩であり自分が受け取った衝撃をそのまま言葉にした結果であります。