第4話「「仲間じゃないから!!!!!!」」

とりあえず「晴れの街」に行くことにしようと思う。理由としては特にないけど強いて挙げれば曇りの街とかもし仮に雨降ってたら傘無いし困るからぐらいだろうか。ただ個人的には晴れもあまり好きじゃないけど。とりあえずこのホールみたいなのの近くにいたってこれ以上の情報は得られないはずだ。それならいっそ自分から行くしかない。そうしないとご飯食べれないしね。地図を見ると晴れの街というのはこの場所より南西大体10kmほどの場所にあり、頑張らなくてもこの日中には着けそうだ。せっかくなのでゆっくりこの世界の景色を楽しみながら歩いていこう。一応バイクならホールの外にご自由にどうぞという貼り紙とともにあったけど、バイクの乗り方とかボクシラナイ。バイクなんかに乗ったってきっとそこらで事故ってバイクを壊してしまいそうだ。むしろ壊す自信ならある。それにしてもだ。


「それにしても人に会わないなぁ」


今僕が歩いている草原のような場所には人どころか虫すらいないようなある意味不気味な静けさがある。知らない場所で誰かに会えないというのはとどのつまり情報が得られないということに他ならない。この空間にあるのは心地よい風と丁寧に整備されているように整った草木と世界が止まったかのようなゆっくりとした時間だけだ。本来ボッチはこういう場所が欲しくて仕方なく家の中に場所を作るという種族なのだ。だから実際のところ今は不安より嬉しさがこみ上げてきていて気づいたら......


「ボッチ最高!!!!!!」


と、叫んでしまっていた。誰かに聞かれていたら本当に死にたくなる。もう一回生き返るとか言われてるけどとりあえず今回死にたくなる。まぁ、こんな所にもう人なんていな......


「ボッチの人ってあなた?」


いた。いや、しかしだ。しかし確かにさっき辺りを見回した時には誰もいなかったのに。


「ボッチの人というのは心外だね」


「でもボッチなの、あなた」


「ボッチなんだけどね!?」


この身長160cmあるかないかぐらいで黒のショートのいわゆる日本人形のような少女(以下日本人形少女)はなかなか鋭い感性をお持ちのようだ。ふぅ、危うく僕の精神ポイント(以下sp)をごっそり持っていかれるところだったぜ!フユさんは常人に比べてSPの少ないガラスのハートの持ち主だから一発KOもあるから言葉に気をつけようね(憤怒)


「まーいいやー。あなたも「来た人」なのー?」


「いいやって......。はぁ.......」


「ねー、聞こえてるのボッチさーん」


ボッチさんは後々困る。.......こうなったら一応さっき決めた名前を教えよう。


「仕方ないなぁ、とりあえず君には僕の名前を教えてあげよう!今後はそう呼ぶように!」


「えーボッチさんでいいよー」


「僕がダメだから言ってるんだけどね!?」


ダメだこのままではこの少女に主導権を握られてしまう......(既に握られているとか言ったら負け)。というかそういえばそうじゃん?ここに来たということは、だ。


「そもそも君もボッチじゃないか」


日本人形少女は不意を突かれたような驚いた顔をして、少し俯いて考え込んだ。うーん、うーんとうなった後、何かがわかったのか顔を上げこう言った。


「あたしはー、人に合わせるのが苦手なだけなのー。だから必然的に孤高の存在へと消化してしまうのですよー」


「要するにボッチじゃん」


孤高の存在とか人に合わせるのが苦手とかいうあたりほとんどのにわかボッチ(ボッチなのにボッチだと自分では認めないボッチの風上にもおけないボッチのことをいう)と何ら変わらない。


「あたしのことはいいのー」


あんまり弄りすぎたからかぷんすか怒り出した。.....正直ちょっと可愛い。あまり続けるのも可哀想だしそろそろ質問に答えてあげようかな。


「それで僕はおそらく君のいう「来た人」なわけだけどそれがなに?」


「ふーん......じゃあどうしてあなたはあのチャラチャラした人について行かなかったのー?」


「特に意味は無いよ、ただ、出遅れたってだけで」


決してモブキャラだから遠慮した、とかではない。本当だよ?


「それは嘘を言っている顔なのー」


「なんでわかるの!?」


「本当に嘘をついていたのー」


「はっ」


日本人形少女がブラフを使えるほど頭が良かった件について、というスレをたてたい。ちなみに日本人形少女はしてやったりとばかりにドヤ顔でご満悦みたいだ。


「あたしに嘘つくとはいいどきょーだなー」


言ってることは怖いけど顔も声も可愛いから実際怖くないとか言えない。


「初対面なのになんなのさ君」


「くっ、厳しいところを突かれた!まぁ、それはいいじゃんかー」


「今のどこに痛いところが!?」


日本人形少女は視線をキョロキョロさせながら答えた。というか言葉で苦しいところを突かれた!っていう人初めて見た。


「...しょ....い.....こま...のー」


「......なにか言った?」


鈍感系主人公が使う言葉ランキング第1位どうどうの登場である。本当に聞こえなかったのだから仕方ない。


「あたしー何も言ってないよー」


「そういう人に限って何か言ってるんだよね、テンプレすぎかな、三十点」


「なにを点数付けしてくれちゃってるんですかもー。そういえば結局のところあなたは今からどこへいくのー?」


「一応向かっているのは晴れの街だけど?」


「ちょうどいいので連れていって欲しいのー」


「なにがどうちょうどいいのか教えて貰おうか」


「きっとこれは運命の出会いかもなのー......はっ、この出会いが恋に発展とかー!?」


「恋に落ちそうな展開ってほどでもないよね!?」


「あなたを地獄の底になら落とすのー」


「流石に酷くない!?」


「......奈落の底ぐらいで勘弁してあげなくもない」


「ん?気のせいかな頭が痛くなってきたよ......」


「知ってるー?ブラウン管テレビって叩くと直るんだよ?」


ニコッとはにかんで笑ってくれましたまる。


「僕ブラウン管テレビじゃないんだごめんね」


なのでハニカミ返しました。


「むー、むー、なにさなにさー、ただ次の街までついてっていいですかーってだけじゃんかもー」


「誰かと一緒だと落ち着かないから嫌だ!」


「これだからボッチは困るなーもー......やれやれ」


なんか挙句の果てに僕が悪いみたいになってるし。まぁ、ついて来るぐらいならいいと思おう。


「......もうなんでもいいや、勝手にして」


本当に頭が痛くなりそうなので勝手にさせることにした。そもそもの話誰もいなかったここになんで現れたのかというのもおいおい聞きたくもなくもない。話しかけたくはないけど。


「それにしても晴れの街遠いのー......」


「10kmって遠いんだね、やっぱり」


「そう、みたいなのー」


大体2kmほどしか歩いてないはずなんだけどね?めちゃくちゃ進んでる気がしない。なんか空港の平行エスカレーターを逆向きに歩いている感じかな。景色が変わらなすぎて辛いし何が辛いかってずっと後ろに人がいることが辛い。なんていうのかなこの「見られている」感じ、ただただ苦痛だ。仮に視線というものが物理攻撃として成り立っていたとすればきっと今僕は裁縫の針山状態だろう。違いない。


「あの......そんなに見ないでくれると助かるんだけど」


「自分と違う性別の存在を警戒しているのー。いつ襲われるかわからないからー」


「僕がそんな人間に見えるなら眼科に行った方がいいと思うよ!?」


「何を言ってるのー?ここに眼科なんてないのー」


おっとりした口調でキツイこと言うなぁ.....。だがそれがいい!そういう趣味の人にはね!(ここ重要).僕は違うから全然嬉しくないしむしろ激おこDAZO♡


「やぁやぁ君達」





......なんか話しかけられたんですがあの.......

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