誰しも『読みたい』作品というものがあると思います。なかにはそれが見つからなくて、無ければ自分で書いちゃうという方もいらっしゃるようですね。
私にとってこの作品は「読みたいものはどこかに必ず存在する」と確信させられた、私の性癖をぐっさぐさに刺しまくり、『大好き』がぎゅうぎゅうに詰められた小説でした。出会えたことに感謝しかない。本当に。
物語は主人公タイラを中心として、彼と一緒に暮らす6人の仲間たちとの日常を描いたものとなっています。と言っても、少しだけ破天荒な人生を送ってきた彼らの日常。物騒な出来事に遭遇したり、過去からの因縁に巻き込まれたり巻き込んだりといった、穏やかなものとは少々かけ離れたものとなっています。
この作品の魅力はなんと言っても、仲間たち全員のそれぞれの辛い過去やそこからの成長の深い掘り下げにあります。このエピソードががっつり描かれていることで、彼ら全員を大好きになってしまって感情の入り方が半端なかったです。こんなに登場人物みんな好きと思える小説に出会えることはなかなか無いかも……。
と言いつつ、そんな中でもお気に入りはユウキとミユちゃんのちびっ子コンビ。小さな彼らでさえ大きな傷を抱えて、そしてそれを乗り越えるべくもがいて頑張っていくのです。ほんと好きすぎる。泣ける。
読み口は紙の本に近いので、じっくり腰を据えて読める方向けかもしれません。しかし情景・心情がしっかり描かれ、かつ難しすぎない文章なのでするすると読めると思います。こちらの作者さんの文章は、とても心地良く読めることもお気に入りの理由の一つです。
もっとたくさんの方に読んでもらいたいし、読んで絶対に損のない作品です。本当におすすめ。ぜひご一読を!
無理やりある薬剤の中毒にさせられ、それがないと生きていけない体になってしまった男と。
その薬を開発したがために使用を強制させられ、男をそんな体にしてしまったことへの負い目を感じつつ傍にいる女性と。
そんな二人を中心に、彼らと愉快な仲間たちが繰り広げる物語。
その男と女性が、これからどんな関係になっていくのか、ならないのか。
仲間たちとどんな出来事が起こっていくのか。
とても気になります。
登場人物一人一人がとても個性的で魅力的で、誰にも幸せになってほしいと思いつつも誰もがどこか不器用で危なっかしくて。
ついつい目が離せない。