嫌われる

 友人からお雛様を貰い受けた。五段飾りの、なかなかに立派なものだ。

 引き取る折に何故だかぶつぶつ言われたけれど、道理のない事だと思う。

 だって彼女の家の娘はもう大分大きいし、それならうちの子の為に飾ってやった方が、人形だって嬉しいに決まっている。


 たっぷりとした満足感と共に飾りつけを終え、写真を撮っておこうと思い立った。スマートフォンを手に取って、さて、と視線を戻して凍りつく。

 ちょっと目を離したその一瞬に、雛壇の人形たちは、揃って後ろを向いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る