雨戸トカゲ
雨戸を閉めると、必ず雨戸と窓ガラスとの間に一匹のトカゲが入り込む。
そうして奇妙に白い腹を晒し、ちょろちょろと
カーテンを閉めれば当然その姿は見えなくなる。それで気にもならなくなる。
けれど連日のように繰り返して出現されるうちに、その小さな姿が癇に障って仕方なくなった。
ある時実家から弟を呼んで、窓の外に立たせた。
私が雨戸と窓を閉め終えて声をかけたら、外から雨戸を開け放って、そこにいるはずのトカゲを捕えろと命令をした。
打ち殺すまでしなくとも遠くへ捨てればそれで片付くと、そう思っていた。
けれど外側からトカゲを見た弟はぎゃっと叫んで逃げ出して、それからどう問い詰めたって、
「あれはトカゲなんかじゃなかった」
と首を振るばかりだった。
だからトカゲは今日も、白い腹を晒して窓ガラスを這っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます