海中の火
飲み会の帰り、一人海沿いの公園をぶらついていた。夜風に当たって酔い醒ましをしようと思ったのだ。
見るともなしに暗く蠢く海面を眺めていたら、不意に奇妙なものが目に飛び込んできた。
それは、海中にゆらゆらと揺れる緑の光である。
まるで炎が舞い踊るかのような有様だったけれど、勿論そんなはずはない。
正体を見極めようと身を乗り出すと、合わせたように光もついとこちらへ寄る。そして直後、海面から高く鋭く跳ね上がった。
驚いて尻餅をついたのがよかったのだろう。
光は頭のあった辺りの空間を通り過ぎ、路面に落ちて爆ぜて消えた。
顔の前で交差させた腕を恐る恐る解くと、後には焦げ溶けたアスファルトの匂いだけが、ただつんと立ち込めていた。
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