3分の1は君のもの

 あれ・・以来、いつも同じ子が夢に出る。

 三日目辺りから祟りやら呪いやらを疑い出して、一週間くらいは大分怯えていた。

 けれど夢の中の彼女はとても無邪気で朗らかで、屈託なんてどこにもなしに魅力的で。勿論俺がやせ細るだの病み衰えるだのもなくて。

 一ヶ月連続を記録する頃には、すっかりこの異常が日常になってしまっていた。


 それから、もう6年になる。

 夢は途切れる事なく続いて、大学卒業を契機に、とうとう彼女にプロポーズをした。

 どうせ人生の3分の1は眠って過ごすのだ。

 こんな夫婦生活も、悪かないだろうと思っている。

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