入りっぱなし
昨日は台風と紛うばかりの激しい雨だったが、今朝からは一転して晴天だった。あまりにいい天気だったので、近くの公園で昼食にしようとオフィスを出る。
が、これが失敗だった。
如何に好天といえども雨に打たれ続けた公園のベンチはまだ湿り気を帯びており、腰を下ろす気になれない。
困ったなあとうろうろしていると、ふと茂みの陰に長靴があるのが目に留まった。
大人のものなら放置されたゴミであろうと無視したところだが、左右揃えてきちんと置かれた、真新しい子供用の長靴である。
何がしかの事情で置き去りにしたのかもしれず、警察に届けるまではいかないまでも、もっと目立つ場所に移してやろうと仏心が出た。
芝生を踏んで靴をつまむと、ずしりと重い。
靴に雨水が溜まっているのだろうかと覗き込んで、こみ上げた吐き気に口を覆った。
中には持ち主のものと思しき足首が、まだ入ったままだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます