確認の電話

 父方の祖父の訃報があった。

 父の実家とは長らく疎遠である。父本人が家について語らず、帰りたがらず、お互い連絡もないままに日を過ごしてきた。

 父の葬儀の折も弔電が届けられただけであったから、こちらも同じ様にした。


 しかし数日後、香典返しとして肉が届いた。

 ギフト品のように包装されていたが、どこのメーカーの何の肉とも記載がない。ただ「特別の良い肉です。皆様でお召し上がりください」と、それだけが添え書きされていた。

 確かに細かくサシの入った、実に高級そうな肉である。不思議な事に眺めているだけで唾が湧いた。

 けれど、やはり得体の知れないものは口に入れ難い。

 悪いとは思ったが、そのまま生ゴミとして出した。



 翌日の夜、固定電話が鳴った。

 なんの気もなしに受話器を取ると、


「食べなかったのか」


 小さくそれだけ呟いて、がちゃんと切れた。

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