とってもらう
夕食を作っていたら、調味料が足りないのに気づいた。
少し不安だったが、本人が「もう小学生だから大丈夫」と言うので、娘に留守番を頼んで買い物に出た。
帰ってくると、娘はテレビを見ながらクッキーを食べていた。
夕食前の間食を叱って取り上げて、そこで疑問を覚えた。
そのクッキーは娘の好物で、だからこそおやつ時にしか食べれないように、棚の一番上に缶を置いている。椅子や踏み台を使ったとしても、そこへは絶対、娘の手は届かない。
どうやって取ったのかを問いただすと、
「お願いしてとったもらった」
そう答えて、私の背後の一点を
ぎょっとなって振り向いたが、そこに誰も居はしない。
娘には、何かが見えているのだろうか。
慣れ親しんだ家の中が不意に見知らぬ場所に変じたようで、私はぞくりと身震いをした。
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