煙突
風の強い夜の事である。
車の進行方向に、月まで届きそうに高い煙突が見えた。
はて、あんなところにあんな煙突があったろうか。
記憶にない光景にちらちら脇目を使っていると、近づくにつれ正体が知れた。
それは人柱だった。
沢山の人間が丁度組体操のように、手を組み足を組み組み上がった、一本の長大な柱だった。
その時、一際高い唸りを上げて、強く風が吹いた。
柱はぐらりとよろめいた。
右に揺れ左に傾き、それでもしばらくはバランスを保っていたのだが、やがて耐え切れなくなったのだろう。ついに根元から崩れた。
部品であった人体が、ばらばらと地面に降り注いでいくのが見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます