枯山水

 高校の時の、修学旅行での話だ。

 班行動で訪れた先の禅寺で、不意に悪戯心が湧いた。後の事も周りの事も深くも考えず、その場の勢いだけで柵を飛び越え枯山水かれさんすいに踏み入った。

 白砂で描かれた水面みなもを踏んだ両足は、そのままとぷんと膝まで沈んだ。

 近くに居た僧侶が慌てて引き上げてくれて、どうにか事なきを得た。

 けれどびしょびしょに濡れそぼった俺の足は、しばらく感覚が戻らないほどに冷え切っていた。

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