声が止む

 だらしなく畳に寝転んでいると、どこからか人の話し声のようなものが聞こえた。

 来客かと思って身を起こしたが、周囲も家中もひっそりとして、人の気配はない。気のせいかと思ってまた転げると、やはりひそひそと声がする。

 出どころを探ると、どうやらそれは床下からのようだった。

 この和室は一階にあるのだから、その下に何者かが這い入れるはずはない。

 けれど畳に耳を押し当てれば、確かに人の声がする。

 何を言っているのかは判然としない。けれど、多くの声がさざめき交わしている。どうにか聞き取ろうと、目を閉じ耳を澄ましていると、


「聞かれてる」


 声のひとつが明瞭に言った。

 そして、それきり静かになった。

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