みちづれ

 寝ている俺の枕元で、ふたりの老人がしみじみと語り合っていた。


「お前との付き合いも長かったが、俺は一足先に行くよ」

「寂しい事を言うな。同期の縁だ。お前が行くなら俺も行くよ」

「すまんなあ」

「なんの、なんの」


 一体何の話だろうと思いながら夢現ゆめうつつに俺はそれを聞いている。


 やがて目覚ましが鳴り響いて、俺は完全に覚醒した。まず部屋を見回したが、当然ながら老人などは居ない。

 おかしな夢見だったなと頭を振ってから顔を洗い、さて朝食をと炊飯器を見ると炊けていない。タイマーセットを忘れたか思ったが、どこをどういじってもまるで反応がない。どうやら壊れてしまったらしい。

 仕方がないので買い置きの冷凍食品を開けて、電子レンジにセットする。が、何たる事か、レンジの方も反応がない。こちらも故障のようだった。


 そういえばこのふたつは同じ時に買ったものだったなと、ふとそれを思い出した。

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