白墨の輪
ほろ酔いで帰ってくると、近所のマンションの前の路面に、チョークで輪が書かれていた。
輪はぽつんとひとつだけだった。
ここに住む子供の、遊びの跡だろうか。
なんだかふと懐かしくなって、周りに人がいないのを確認してから、足を揃えてぽんと輪の中に飛び込んだ。やってから、急に気恥ずかしくなった。
そそくさと輪を離れた瞬間、背後でがしゃんと物の砕ける音がした。
振り返ると、分厚く重い植木鉢が、輪の中で粉々になっていた。
はっと見上げたが、マンションのどのベランダにも人影はなかった。
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