2:INTERLUDE
こうして君は此処にやって来た。
例えるならこうだ。Xの二倍はといきなり訊かれたとするならば、君は多少訝しみながらも無難に2Xと答える。しかし、先に一+二+三+四=Xと知らされていて、Xを求めさせられたならば、その直後にXの二倍はと訊かれると君は普通に二十と答えるだろう。
文脈とでも言うか、或いは前提とでも言うべきか。此処に辿り着いた君は既にその前情報を知ってしまっていて、それがない状態、過去を自分の物としてはもう思い出すことはできない。出来たように見えるそれは恐らく、本当には君ではない。
こうすればいい。よくできた君のコピー。ただし当然前情報は持っていない。そいつにそのままこれから先のプログラムを与えていく。これで前情報のない君がこれから先に進んでいくのを想定出来た。さてどうなるかと覗き込む君は、相変わらず前情報を知ってしまっているのだが。
前章の話はこれぐらいでいいだろうか。矢張りこの先のプログラムの話をしなくてはならないだろうから。
これから先のプログラムは此処までのものとは少し変わっている所がある。それは次に進んで貰えば自然と分かるものであるから明言しないが、其処で戸惑いがあってはならないと思って今その事実だけはお伝えしよう。
さてこの前とこの先のプログラムの関係性は今此処で保証せねばならない。前章に出て来た名称と同一の名称がこれ以降に出てきたのならばそれは同一の存在を指しているし、同一の存在が複数存在し続けるその環境も同じものだ。
Xの価値は最初のプログラムだけでは見出す事が出来ず、2Xに出くわして初めて納得を得る。よってまだ君は前章に関して余り過剰に意識を払う必要はない。既に述べたようにこれから先は少し別のものとなるのだから。
此処で語るべきことはそう多くない。何故ならこれより前は後から付け足されたものだからだ。進めた先に見つけた欠陥。それをどうにかするためにより前に手を打っただけの事。恐らくこれは、Xを求めてからXの二倍を求めるのと、Xの二倍を求めようとしてからXを求めようとするのでは違うことになるような訳の判らないものなのだ。
そしてこれを読み終えた君は、この章も文脈、前提、前情報だったのだろうと思い至る。
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