誰も彼も唐突すぎるっ!
「市田さん」
と突然、そこで晶生が口を開いた。
「霊能者の笹井が出演している怪奇番組とかってご覧になったりすることありますか?」
駒井は、いきなりこの人何言い出したんだろうと思って、彼女を見た。
っていうか、鳴海さんがいきなり現れたこともスルーだしな、この人。
晶生さんは、鳴海さんが来ること聞いてたんだろうか? と駒井は思っていたが。
もちろん、聞いてはいなかった。
ただ、鳴海とタナカ イチロウ。
あと、堺に関しては、いきなり現れても晶生はあまり驚かない。
そういう種類の人たちだからだ。
この状況、どうしたら……?
駒井はチラ、と鳴海を窺い見たが。
鳴海は、晶生がいきなり、とんでもない話をはじめても、晶生に全幅の信頼を寄せている感じの顔で深く頷いている。
しょうがないので、鳴海を尊敬している駒井も、よくわからないながらもわかっている風を装い、頷いてみた。
「ああ、えっと、たまに見ますけど?」
市田はもちろん、話のつながりが見えてこないようで、困惑した顔で晶生に訊き返している。
「実はあの事件があったところにあった塚。
今度笹井が取り上げようと思っていた塚なんです」
……いきなり本筋に着地したな。
「あ、申し遅れまして。
私、実は笹井の弟子をしております、須藤晶生と申します」
と晶生はまた、笹井が、
「やめてください~っ」
と真っ青になって叫びそうなことを言う。
「笹井があそこに取材に行こうとした矢先に、こんな事件が起こりまして」
「あっ、もしかして、あの日、下見に来られてたんですか?」
と市田は合点がいったような顔をする。
いや、いかないで。
たぶん、違うから、と駒井は思った。
だが、市田は、
「なんか芸能関係の方とかも現場付近にいらっしゃったって聞いたんですけど。
それでだったんですねえ」
と頷く。
いや、それでではないようだが……。
そう思いながらも、やはり駒井はなにも突っ込まなかった。
晶生はまだ、それらしい顔で語っている。
「実は――
その、放送前にネタバレになってしまうんですが。
あの塚、生贄を捧げると、捧げた人に呪いがかかる塚だったんです」
いや、待って。
生贄を捧げた挙句に呪われるとかっ。
それじゃあ、その塚、なんのご利益があるんですかっ?
と駒井は思っていたが、市田は何故か青くなっていた。
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