概要
凶器はない。傷だけが、人から人へ渡っていく。
鍵のかかった寝室で、県議が眠ったまま心臓を刺されていた。凶器は、どこにもない。
港町・湊川。県警捜査一課の御厨慧は、現場に入って三分で他人の三日分の見立てを捨てる、検挙数四年連続一位の刑事だ。口癖は「三分くれ」と「ノイズだ」。人の話は、最後まで聞かない。
同じ夜、二百メートル先で胸を刺された若者は、病院で傷が消えていた。
傷は、人から人へ移っている。
ある失敗で、慧は古い倉庫の「証拠保管分室」へ飛ばされる。相棒は、定年間近で黒飴と演歌が好きな灰谷。「坊っちゃん」と呼ばれながら、慧は未解決事件の箱のあいだで、続いていく凶器のない事件を追いはじめる。
手がかりの先にいたのは、港の路地で鍼灸院を営む千早透子。鍼を持つ手が少しも震えない彼女は、慧を見て「初めまして」と言った。
ひとりで全部
港町・湊川。県警捜査一課の御厨慧は、現場に入って三分で他人の三日分の見立てを捨てる、検挙数四年連続一位の刑事だ。口癖は「三分くれ」と「ノイズだ」。人の話は、最後まで聞かない。
同じ夜、二百メートル先で胸を刺された若者は、病院で傷が消えていた。
傷は、人から人へ移っている。
ある失敗で、慧は古い倉庫の「証拠保管分室」へ飛ばされる。相棒は、定年間近で黒飴と演歌が好きな灰谷。「坊っちゃん」と呼ばれながら、慧は未解決事件の箱のあいだで、続いていく凶器のない事件を追いはじめる。
手がかりの先にいたのは、港の路地で鍼灸院を営む千早透子。鍼を持つ手が少しも震えない彼女は、慧を見て「初めまして」と言った。
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