概要
忘れた記憶は海から還る。彼の名前だけ、朝ごと消える。
サブジャンル相当
和風幻想/記憶ミステリー/青春・再生
汐凪市では、新月の翌朝、人が捨てた記憶が青い硝子片「想玻璃」となって浜へ流れ着く。
母を亡くし、十二年ぶりに故郷へ戻った三枝澪は、市役所の「漂着記憶管理室」で臨時職員として働き始める。仕事は、持ち主を探し、本人が望むなら記憶を返すこと。けれど初出勤の浜で出会った青年・榊律だけは、名簿にも戸籍にも存在しなかった。
「十二年ぶりだな、澪」
律は澪を知っている。亡くなった弟のことも、澪が忘れた子ども時代も。
それなのに町の人々は、朝が来るたび彼を忘れる。澪もまた、前夜の自分が残した「榊律を忘れるな」というメモを読むまで、彼の名を思い出せない。
母が十二年間借り続けた本。顔だけ白く抜けた古写真。存在しない九十九番ロッカー。百十二回のあと、遅れ
和風幻想/記憶ミステリー/青春・再生
汐凪市では、新月の翌朝、人が捨てた記憶が青い硝子片「想玻璃」となって浜へ流れ着く。
母を亡くし、十二年ぶりに故郷へ戻った三枝澪は、市役所の「漂着記憶管理室」で臨時職員として働き始める。仕事は、持ち主を探し、本人が望むなら記憶を返すこと。けれど初出勤の浜で出会った青年・榊律だけは、名簿にも戸籍にも存在しなかった。
「十二年ぶりだな、澪」
律は澪を知っている。亡くなった弟のことも、澪が忘れた子ども時代も。
それなのに町の人々は、朝が来るたび彼を忘れる。澪もまた、前夜の自分が残した「榊律を忘れるな」というメモを読むまで、彼の名を思い出せない。
母が十二年間借り続けた本。顔だけ白く抜けた古写真。存在しない九十九番ロッカー。百十二回のあと、遅れ
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