概要
お父様。お客様としてなら、予約をお願いします
「返品された娘は、お前が引き取れ」
婚約破棄されて帰った夜、お父様は玄関の広間でお母様にそう言った。お母様は私の手を握ったまま、自分の結婚指輪を抜いて、家令の銀盆に置いた。
「ええ。娘は引き取ります。指輪もお返しします。私も離婚するわ」
「待って、お母様。私を庇うために、離婚までしなくても!」
「あなたには幸せになってほしいのに、私が不幸な結婚を我慢していては、説得力がないでしょう?」
伯爵家の茶会が王都で評判だったのは、母が客の好みを一人残らず覚えて茶を選び、私が客の目の高さに花を活けていたからだ。お父様はそれを全部、「我が家の茶会」と呼んできた。
その夜、十九の私と四十二のお母様は、お祖母様が遺した王都の外れの小さな家へ移った。門の外まで追ってきたお父様に、私は言った。
「
婚約破棄されて帰った夜、お父様は玄関の広間でお母様にそう言った。お母様は私の手を握ったまま、自分の結婚指輪を抜いて、家令の銀盆に置いた。
「ええ。娘は引き取ります。指輪もお返しします。私も離婚するわ」
「待って、お母様。私を庇うために、離婚までしなくても!」
「あなたには幸せになってほしいのに、私が不幸な結婚を我慢していては、説得力がないでしょう?」
伯爵家の茶会が王都で評判だったのは、母が客の好みを一人残らず覚えて茶を選び、私が客の目の高さに花を活けていたからだ。お父様はそれを全部、「我が家の茶会」と呼んできた。
その夜、十九の私と四十二のお母様は、お祖母様が遺した王都の外れの小さな家へ移った。門の外まで追ってきたお父様に、私は言った。
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