概要
それなのに、初恋の彼女には家をプレゼントしていた
結婚三年目の記念日。夫の黒瀬航平がくれたのは、今年も送料込み980円の小さなバラの花束だった。
通販で買った花束は、包装紙にしわが寄り、花びらの縁も少し傷んでいた。
「千春、ごめんな。今、会社が厳しくてさ。落ち着いたら、ちゃんと埋め合わせするから」
私は傷んだ花びらを取り除き、リビングの花瓶に生けた。
その後、会社の資金繰りを助けるために、母が遺した花屋まで売った。二十年以上続いた店で、私が母から相続した唯一の不動産だった。
藤崎莉央の帰国祝いが開かれたのは、それからしばらく経った頃だ。
酔いの回った莉央が、友人たちに囲まれて笑っていた。
「航平がね、ご両親の家を譲ってくれたの。あそこを私のスタジオにするつもり」
周囲から羨ましがる声が上がった。
その家には
通販で買った花束は、包装紙にしわが寄り、花びらの縁も少し傷んでいた。
「千春、ごめんな。今、会社が厳しくてさ。落ち着いたら、ちゃんと埋め合わせするから」
私は傷んだ花びらを取り除き、リビングの花瓶に生けた。
その後、会社の資金繰りを助けるために、母が遺した花屋まで売った。二十年以上続いた店で、私が母から相続した唯一の不動産だった。
藤崎莉央の帰国祝いが開かれたのは、それからしばらく経った頃だ。
酔いの回った莉央が、友人たちに囲まれて笑っていた。
「航平がね、ご両親の家を譲ってくれたの。あそこを私のスタジオにするつもり」
周囲から羨ましがる声が上がった。
その家には
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