概要
「勇者暗殺まであと六日。なのに明日の仕込みが気になる。
本来の計画どおりなら、数分後、この店は周りの火薬ごと吹き飛ぶ。
二階の窓辺で、シエルは最後の座標を打ち込んだ。
王都中央広場まで、八百四十二歩。
風は北東、高度の補正は二。
窓の向こうでは、勇者凱旋祭の花火がもう上がり始めていて、赤い光が咲くたびに、少し遅れて腹の底へ音が届く。
紅茶に混ぜた睡眠薬は効いたらしい。
階下からは、もう物音ひとつしなかった。
窓硝子に映った自分の顔から、シエルは目を逸らした。
懐で、通信石が震える。
『観測点、応答せよ』
「こちら花火師。観測準備、完了」
「目標を確認せよ」
広場の壇上には、青い飾り紐を掛けた勇者の姿が見える。
その周りを、王族と騎士団と、祭りに集まった数えきれない人の影が埋めている。
それから、店先の小さな台。
二階の窓辺で、シエルは最後の座標を打ち込んだ。
王都中央広場まで、八百四十二歩。
風は北東、高度の補正は二。
窓の向こうでは、勇者凱旋祭の花火がもう上がり始めていて、赤い光が咲くたびに、少し遅れて腹の底へ音が届く。
紅茶に混ぜた睡眠薬は効いたらしい。
階下からは、もう物音ひとつしなかった。
窓硝子に映った自分の顔から、シエルは目を逸らした。
懐で、通信石が震える。
『観測点、応答せよ』
「こちら花火師。観測準備、完了」
「目標を確認せよ」
広場の壇上には、青い飾り紐を掛けた勇者の姿が見える。
その周りを、王族と騎士団と、祭りに集まった数えきれない人の影が埋めている。
それから、店先の小さな台。
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