概要
蜘蛛は糸を紡がず。ただ、救いを乞うていた。
暗闇の中、一匹の黒蜘蛛が蠢いていた。
甚太という一人の少年は、その小さな命を何の躊躇いもなく奪った。
命の重みなど、彼は考えたこともなかった。
暴力と非行に明け暮れ、己の欲望のままに生きてきた甚太。そんな彼の前に現れたのは、静江という心優しい少女だった。
彼女の慈悲に触れ、甚太は初めて真っ当な人生を歩もうと決意する。
しかし、一度心に巣食った悪意という名の毒は、そう簡単に消えるものではない。
やがて取り返しのつかない罪を犯した甚太は、逃れられぬ因果の果てに、ある奇妙な真実を知ることになる。
あの日、何の気なしに奪った一匹の命。
果たして、あの蜘蛛は何を伝えようとしていたのか。
蜘蛛の糸は、救済を紡ぐ。
されど蜘蛛の意図は、罪を紡ぐ。