概要
「王妃の器ではない」? ええ。王の器でしたので
「ジーグリット・ローエンシュタイン。君は王妃の器ではない。婚約を破棄する」
卒業夜会の大広間。王太子フリートヘルム殿下の腕には、頬を染めた男爵令嬢ベッティーナ。
私は扇を閉じ、言われた言葉をそのまま繰り返した。
「『王妃の器ではない』。――承りました」
この六年、殿下の演説も、治水の計画書も、隣国への親書も、書いたのはすべて私だった。
口癖は「殿下のお考えです」。手柄を自分の名で出したことは、一度もない。
翌朝。謁見の間に呼び出された私の前で、国王陛下は欠伸まじりに言った。
「王妃の器でないなら、王の器だろう。余の次は、そなたが継げ」
六年分の下書きの束を、陛下はすべて読んでいらしたのだ。
「それからフリートヘルム。今日からお前は、この子の補佐官だ。お前がやらせていた仕事を
卒業夜会の大広間。王太子フリートヘルム殿下の腕には、頬を染めた男爵令嬢ベッティーナ。
私は扇を閉じ、言われた言葉をそのまま繰り返した。
「『王妃の器ではない』。――承りました」
この六年、殿下の演説も、治水の計画書も、隣国への親書も、書いたのはすべて私だった。
口癖は「殿下のお考えです」。手柄を自分の名で出したことは、一度もない。
翌朝。謁見の間に呼び出された私の前で、国王陛下は欠伸まじりに言った。
「王妃の器でないなら、王の器だろう。余の次は、そなたが継げ」
六年分の下書きの束を、陛下はすべて読んでいらしたのだ。
「それからフリートヘルム。今日からお前は、この子の補佐官だ。お前がやらせていた仕事を
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