概要
あなたが勝てなかった相手は、私です
元夫が自慢していた銀の兜を、イングリットは剣先で床へ落とした。
「剣も握れぬ女に、騎士の苦労などわかるものか」
離縁を言い渡したときの台詞を、彼はもう一度言えるだろうか。
客席の前で覆面を外した白騎士は、昨日まで彼の妻だった。月例試合で、彼が五年間、一度も勝てなかった相手でもある。
騎士の家に生まれ、剣を愛して育った二十四歳のイングリットは、家庭では夫の顔を立て、試合では素性を隠してきた。けれど、もう妻として勝ちを隠す必要はない。自分の名で御前試合へ出て、正式な騎士になる。それが離縁の翌日に決めた目標だった。
最初に彼女へ拍手したのは、騎士団長のハーラルト。彼は正体を知る前から白騎士の剣を評価し、何度も入団を誘っていた。
「ようやく、君の名を呼んで応援できる」
剣の勝負では遠慮しない
「剣も握れぬ女に、騎士の苦労などわかるものか」
離縁を言い渡したときの台詞を、彼はもう一度言えるだろうか。
客席の前で覆面を外した白騎士は、昨日まで彼の妻だった。月例試合で、彼が五年間、一度も勝てなかった相手でもある。
騎士の家に生まれ、剣を愛して育った二十四歳のイングリットは、家庭では夫の顔を立て、試合では素性を隠してきた。けれど、もう妻として勝ちを隠す必要はない。自分の名で御前試合へ出て、正式な騎士になる。それが離縁の翌日に決めた目標だった。
最初に彼女へ拍手したのは、騎士団長のハーラルト。彼は正体を知る前から白騎士の剣を評価し、何度も入団を誘っていた。
「ようやく、君の名を呼んで応援できる」
剣の勝負では遠慮しない
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