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概要
凶器は、どこにもなかった。死体より先に、犯行声明が届いた。
凶器は、どこにもなかった。
二〇一二年一月。埼玉県幸手市の雑木林に建つ一軒家で、水に沈んだ半地下の部屋から、柱に縛りつけられた男の遺体が見つかった。体には浅い傷が四つ。だが、その傷をつけたものが、部屋のどこにもない。
同じ日、千キロ離れた鹿児島県枕崎市では、窓にもドアにも内側から鍵とチェーンのかかった部屋で、ひとりの男が、毒を塗ったナイフの刃を素手で握りしめて死んでいた。
そして二つの遺体が見つかるより前に、生放送中のテレビ局へ、犯人からの声明が届いていた。
「我々は本物の正義の鉄槌である」
法が裁けなかった者に、国家に代わって罰を与える。そう名乗る連続殺人は、まだ続くと予告していた。
難事件のときだけ任命される、表に出ない捜査責任者――警察庁特別副長官、通称「特副」。
山から呼び戻
二〇一二年一月。埼玉県幸手市の雑木林に建つ一軒家で、水に沈んだ半地下の部屋から、柱に縛りつけられた男の遺体が見つかった。体には浅い傷が四つ。だが、その傷をつけたものが、部屋のどこにもない。
同じ日、千キロ離れた鹿児島県枕崎市では、窓にもドアにも内側から鍵とチェーンのかかった部屋で、ひとりの男が、毒を塗ったナイフの刃を素手で握りしめて死んでいた。
そして二つの遺体が見つかるより前に、生放送中のテレビ局へ、犯人からの声明が届いていた。
「我々は本物の正義の鉄槌である」
法が裁けなかった者に、国家に代わって罰を与える。そう名乗る連続殺人は、まだ続くと予告していた。
難事件のときだけ任命される、表に出ない捜査責任者――警察庁特別副長官、通称「特副」。
山から呼び戻
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