概要
潮風に混ざる、甘く熟れた魚の匂い。——ねえ、わたしの右腕、おいしい?
潮風の吹き抜ける港町・浜北市。
高校生の魚住汐里は、ある夏の日の午後、自分の汗から漂う異様な「甘さ」に気づく。
それは、魚の腹を割いたときのような、生々しく粘つく匂いだった。
時を同じくして失踪するクラスメイト。
汐里の首筋を粘つく眼差しで見つめる生物教師。
そして、暗い地下室で手帳を開き、「今年の器は当たりだ」と嘲笑う解体医——。
「——わたし、食べられたい」
江戸時代から続く閉鎖的な奇教「八百比丘尼講」の影と、
血の中に眠る「魚腹(ぎょふく)」の記憶。
彼女の体臭が甘く匂い立つとき、街中の狂気が目覚め始める。
美化も救済もない。
ただ、血と肉と、甘い潮の匂いだけが漂う五十話連作・惨劇ホラー。
高校生の魚住汐里は、ある夏の日の午後、自分の汗から漂う異様な「甘さ」に気づく。
それは、魚の腹を割いたときのような、生々しく粘つく匂いだった。
時を同じくして失踪するクラスメイト。
汐里の首筋を粘つく眼差しで見つめる生物教師。
そして、暗い地下室で手帳を開き、「今年の器は当たりだ」と嘲笑う解体医——。
「——わたし、食べられたい」
江戸時代から続く閉鎖的な奇教「八百比丘尼講」の影と、
血の中に眠る「魚腹(ぎょふく)」の記憶。
彼女の体臭が甘く匂い立つとき、街中の狂気が目覚め始める。
美化も救済もない。
ただ、血と肉と、甘い潮の匂いだけが漂う五十話連作・惨劇ホラー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!喰われたいという本能の疼き
最初は、自分の汗が甘い魚の匂いに変わるという異変が不気味でした。けれど、夢を見るたびに潮の匂いや貝殻が現れ、やがて自分の腕を食べる夢にまで進むと、もう身体の内側から何かが変わってしまっている感じがして怖いです。
特にぞっとしたのは、貝塚の手帳に記された「右腕、最も甘いと予想。心臓、最も苦い。脳、最も濃い」という一文。汐里がまだ普通の高校生活を送っている裏で、彼女の身体はすでに食材のように扱われている。その落差が嫌でした。
そして最後の「……私、食べられたい」。誰かに襲われる恐怖だけならまだわかるのに、自分からそう望んでしまうのが怖い。汐里の意思まで変わり始めているのでしょうか。貝塚が何者…続きを読む