概要
相棒の馬が言った。「兄ちゃん、そこは差しだろ」
過労で倒れた34歳の営業マンが目を覚ますと、北海道の小さな牧場の赤ん坊になっていた。 しゃべれない。歩けない。なのに隣の馬房からは、やたらと人間くさい声が聞こえる。 「なあ、今日のエサ、ちょっと少なくない?」 「定時で上がらせてください、もう乳が出ません」 この牧場の馬は、みんな前世の記憶を持った元人間だった。 売れもしないが潰れもしない、ほどほどの牧場の息子として育った十年後。 生まれた仔馬が言った。「……競馬場じゃねえのか、ここ」 中身は、競馬で人生を溶かした52歳の馬券オヤジ。 「乗り役がヘタだから負けんだよ。俺が走ったら勝つ」 口だけは一流のおっさんと、平熱の牧場の息子。笑えて熱い、人生やり直し競馬小説。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・競走馬とは関係ありません。
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