皮肉な人事そのものよりも、その後に残る人間の感情をリアルに描いているところに魅力を感じました。本当に肩の荷が下りた喜びなのか、権限を失ったことへの寂しさなのか、あるいは嫌味なのか。上司ではなくなった本人が何を感じているのかも、自由になったはずの部下たちがなぜ以前と同じように接し続けるのかも、はっきりとは説明されない。それでも、ちょっとした言葉や態度から、それぞれの複雑な感情が伝わってくるのがおもしろかったです。
私の部長は才とクセの両方を併せ持っていた。 実力は間違いなくある。緊急時はこれ以上ないくらい頼りになる。 しかし平常時においてはこれ以上ないくらい扱いにくい、そんな人だった。 残すにも捨てるにも厄介な、そんな部長の現在地は――・ 増える謎部署、消える新人枠、再構築という名の解体―― 組織図には会社の事情が見える。 外部圧力、社内政治や部署間の栄枯盛衰といった、そういう生々しいものが。 背景も含めて「あるある……」と胃を押さえたくなる一作だった。
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