概要
嘘の恋人だったのは、俺だけだった。
文化祭の準備中、脚立から落ちた学年一の美少女・篠宮陽菜を病院へ運んだのは、実行委員の相方だった俺、綾瀬遼。目を覚ました彼女は俺の手を握って言った。「彼氏くん、来てくれたんだ」。彼女が失ったのは、ちょうど一年分の記憶。ロック画面には去年の後夜祭で撮った二人の写真。医師は「今は否定を避けて」と言い、親友の美咲はなぜか訂正しない。こうして俺は、記憶が戻るまでの期限つきで、学年一の美少女の「彼氏くん」になった。毎朝迎えに行き、学校で手を繋ぎ、答えられない「初デートどこだった?」に冷や汗をかく日々。罪悪感を抱えながら嘘を続ける俺が、彼女のスマホの下書きフォルダに見つけたのは、「遼くんへ」で始まる送られなかった三十通のメッセージ。最新の日付は、事故の朝。「今日、告白する」。——嘘の恋人だったのは、俺だけだった。
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