概要
ええ、後宮しか回せませんわ。ですから、全部回します
「後宮を回すしか能のない女だ。竜の後宮でも回していろ」
十二年連れ添った夫――ロスヴァルト国王はそう言って、若い側妃を王妃に上げた。わたしは離縁され、その年の〈人質〉として竜の国へ送られた。
竜の後宮には、大陸三十の国から差し出された姫君がいた。泣いている子。百年前の礼法で固まっている子。竜が怖くて部屋から出ない子。竜王陛下は、一度もここに来たことがないという。
なるほど。回す人がいなかったのね。
「はい、全員並んで! 姫君は背筋、侍女は声、竜は尻尾をしまう!」
星読みの姫には竜の夜の航路を。造船の国の姫には竜が曳く船を。竜の言葉が少し分かる最年少の姫には、竜舎の通訳を。
姫が一人笑うたび、その国の使者が一人、竜の国の門を叩く。そのたびに、元夫の同盟国が一つずつ減っていく。
「
十二年連れ添った夫――ロスヴァルト国王はそう言って、若い側妃を王妃に上げた。わたしは離縁され、その年の〈人質〉として竜の国へ送られた。
竜の後宮には、大陸三十の国から差し出された姫君がいた。泣いている子。百年前の礼法で固まっている子。竜が怖くて部屋から出ない子。竜王陛下は、一度もここに来たことがないという。
なるほど。回す人がいなかったのね。
「はい、全員並んで! 姫君は背筋、侍女は声、竜は尻尾をしまう!」
星読みの姫には竜の夜の航路を。造船の国の姫には竜が曳く船を。竜の言葉が少し分かる最年少の姫には、竜舎の通訳を。
姫が一人笑うたび、その国の使者が一人、竜の国の門を叩く。そのたびに、元夫の同盟国が一つずつ減っていく。
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