概要
俺は布を裁っているだけだ。脱ぐのは、そちらの都合だろう。
リド・ハーヴェイ、十九歳。王宮仕立局の下働きだ。
下働きということになっているが、実際に王族と近衛騎士団の採寸をして、型紙を引いて、縫っているのは俺だった。局長のボルドは十年、俺の仕事に自分の名前を書いて出していた。
その局長に、俺は追放された。理由は「王女殿下に不敬な視線を向けた」。採寸中に肩の高さの左右差を見ていただけだが、そう言われれば反論のしようがない。
出ていくとき、俺は採寸帳を持って出た。私物だからだ。中には十年ぶんの寸法が入っている。陛下の胸囲も、王女の肩の左右差も、近衛百二十人の腕の長さも。
王都で最初に頼ってきたのは、女騎士団長のセルヴィアだった。
「六年、鎧の下が痛い。だが誰にも測らせたことがない」
俺は「脱いでください。仕事なので」と言った。彼女は真っ赤にな
下働きということになっているが、実際に王族と近衛騎士団の採寸をして、型紙を引いて、縫っているのは俺だった。局長のボルドは十年、俺の仕事に自分の名前を書いて出していた。
その局長に、俺は追放された。理由は「王女殿下に不敬な視線を向けた」。採寸中に肩の高さの左右差を見ていただけだが、そう言われれば反論のしようがない。
出ていくとき、俺は採寸帳を持って出た。私物だからだ。中には十年ぶんの寸法が入っている。陛下の胸囲も、王女の肩の左右差も、近衛百二十人の腕の長さも。
王都で最初に頼ってきたのは、女騎士団長のセルヴィアだった。
「六年、鎧の下が痛い。だが誰にも測らせたことがない」
俺は「脱いでください。仕事なので」と言った。彼女は真っ赤にな
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