概要
手話と表情と全身を使って、妄想も悪口も恋心も喋り倒す高校二年生・香椎ねむ。
その親友、芦名ハルは数学が大好きなくせに、過疎化する故郷と祖父の漁業を守るため、「卒業したら漁師になる」と決めている。
「二番目にやりたいことができるなら、それでいい」
そう自分に言い聞かせるハルを、ねむも、家族も、親友も放っておいてはくれない。
一方のねむにも、誰にも言えない想いがある。
中学生の頃からずっと隣にいるハルが好き。けれど、生まれつき声帯を持たない自分が、彼の隣に立つ未来だけは想像できずにいた。
数学か、故郷か。
親友か、恋人か。
そして、自分の身体とどう生きていくのか。
富山湾沿いの小さな港町を舞台に、騒がしい大家族と、世界一やかまし
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!沈黙のヒロインが、誰よりうるさい青春。
「静かじゃない物語」という題名どおり、読み始めて数行で笑わされました。ヒロインは声を持たないのに、誰よりもよく喋ります。指先と眉の動きだけで、感情が花火のように弾けるのです。手話の描写があまりに生き生きしていて、無音のはずのページから声が聞こえてくるようでした。
舞台は海と山に囲まれた、緩やかに死にゆく富山の街。ドブ攫い、十人分の夕飯戦争、バスの空席。そのひとつひとつが愛おしく、「守りたい世界」に自然と心が寄り添います。笑って読んでいるのに、ふとした一行で胸の奥をつかまれる。この緩急が見事です。
★こういう人にオススメ
笑えて、ほろっとくる青春ものが好きな人
田舎暮らしや地方の日常描写に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「数学には正解がある。青春には、たぶんない」――だけじゃないんだよ
40話まで読了してのレビューです。
まず、全体を通して、すごく雰囲気の良い作品です。
優しい気持ちになれるというか、読んでいるこちらの時間もゆったりしてくるというか。
悪い人がいない。
みんな優しい。
みんな誰かのことを大切にしている。
それぞれが、それぞれなりに相手の幸せを願っている。
だからと言って、ハッピーエンドへ向けて一直線ではない。
迷う。
自分の夢を選ぶのか。
故郷に残るのか。
誰かのために何かを諦めるのか。
それとも、自分の気持ちを優先するのか。
誰も間違っていないのに、簡単には答えが出ない。
だからこそ、この作品の青春はとてもリアルです。
そして、そんな答えのな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!声はなくても恋はやかましい! 港町を舞台にした青春群像劇
声を出せない少女・ねむ。
そう聞くと、静かでおとなしいヒロインを想像するかもしれません。
ところが彼女、手話と表情、そして脳内の妄想がとにかくやかましい!
そんなねむの隣にいるのが、数学をこよなく愛しながらも、卒業後は祖父の漁業を継ごうとしている高校生・ハルです。
大好きな数学。
守りたい家族。
少しずつ人が減っていく港町。
そして、近すぎるからこそ素直になれない恋……。
どれにも簡単な正解はありません。
二人を取り巻く大家族や友人たちも、とにかく賑やか。
手話でふざけ、食卓で騒ぎ、恋には全力で横槍を入れてきます。
そんな笑える日常の中に、進路や過疎、福祉、家族への責任といった…続きを読む - ★★★ Excellent!!!港町で紡がれる、不器用な少年と声なき天使の温かな青春物語
富山の小さな港町を舞台にした、とても温かくて心地よい青春群像劇です。
特に魅力的なのは、生まれつき声帯を持たないヒロイン・ねむちゃんのキャラクター性。
ともすれば安っぽいお涙頂戴の悲恋ものになってしまいそうな設定ですが、彼女はハンデを悲観することなく、とても明るく自然体に描かれており、本当に魅力的なヒロインです。
また、不器用に地元を守ろうと漁師を目指すハルや、血の繋がらない家族との複雑な事情なども、決して変に暗くなることなく、終始温かな目線で描かれている点に作者様の郷土愛・人間愛を感じます。
富山の港町の情景とともに、彼らの日常をずっと見守っていたくなる、心温まる素晴らしい作品です。