概要
一歳上の男友達から、女装で旅行に来てほしいと言われた。僕は男だ。
二十九歳、会社員、男。
前の職場の一歳上の男友達から、熱烈なプロポーズを受けた。断りきれずにいると、次のLINEが来た。
『今度の連休、旅行に行こう。その時は、女装をしてきてほしいんだ。出発の時から、帰ってきて別れるまで、ずっと』
猶予は十日。ユニクロで下着を選び、深夜のドンキでウィッグを買い、サロンでプロの手を借りる。鏡の中に現れたのは「けっこう可愛いかも?」と思える一人の女だった。主導権は僕が握る──そう言い聞かせたはずが、待ち合わせの「腕、組んでくれないと歩かないよ」で先を越され、六本木の試着室と、夜景のレストランでの最後通牒で、防衛線は音を立てて決壊する。
そして彼から届いた一枚の画像。下手な、痛々しいほど下手な、彼自身の女装写真。
──私が、綺麗にしてあげなければ。
八
前の職場の一歳上の男友達から、熱烈なプロポーズを受けた。断りきれずにいると、次のLINEが来た。
『今度の連休、旅行に行こう。その時は、女装をしてきてほしいんだ。出発の時から、帰ってきて別れるまで、ずっと』
猶予は十日。ユニクロで下着を選び、深夜のドンキでウィッグを買い、サロンでプロの手を借りる。鏡の中に現れたのは「けっこう可愛いかも?」と思える一人の女だった。主導権は僕が握る──そう言い聞かせたはずが、待ち合わせの「腕、組んでくれないと歩かないよ」で先を越され、六本木の試着室と、夜景のレストランでの最後通牒で、防衛線は音を立てて決壊する。
そして彼から届いた一枚の画像。下手な、痛々しいほど下手な、彼自身の女装写真。
──私が、綺麗にしてあげなければ。
八
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