概要
忘れたのではない。誰かの心に、帰る場所を残していっただけ。
水守町の銀杏通り商店街の端に、「おあずかり処 つむぎ」という小さな店がある。町の人々が落とした傘や鍵、手袋を預かり、持ち主のもとへ返す場所で、拓歩(たくほ)と瞬葉(ときは)は一緒に働いている。拓歩は記録帳に几帳面に日付を残し、瞬葉は持ち主を想像するのが得意だ。九歳のときに母を亡くした瞬葉は、母が寝る前に読んでくれた児童文学『白鳥の帰る湖』を今も手放せずにいた。母はいつも最後のページの手前までしか読まず、瞬葉もまた、その先を開けないままだった。
三月、白鳥が湖へ帰ってくる春に物語は始まる。片方だけの手袋、名前のない鍵、古いしおり。町の人々の忘れものを預かるうち、瞬葉は忘れものには持ち主の時間が宿っていることを知る。梅雨に白鳥が北へ去ると、瞬葉は「いなくなった人が残したものはどこへ行くのか」
三月、白鳥が湖へ帰ってくる春に物語は始まる。片方だけの手袋、名前のない鍵、古いしおり。町の人々の忘れものを預かるうち、瞬葉は忘れものには持ち主の時間が宿っていることを知る。梅雨に白鳥が北へ去ると、瞬葉は「いなくなった人が残したものはどこへ行くのか」
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?