短い人間の一生と、無限にさえ見える広さと時間を持つ宇宙の対比に押しつぶされる物語だと感じました。死とかその後の世界とか、宇宙の終わりとか考えるとおかしくなりそうな概念が虫の形で具現化して、蛇口という生きるために閉じようのない箇所から古いアパートの暮らしへ侵入してきます。水星蟲は考えることをやめられない私達の習性の具体化みたいで、考えることや宇宙みたいな美しさを持ちながらちゃんと滅してきます。読んでいる感覚がすごく心地よくて、私がここまで小難しく言葉にしたことが手触りで伝わってきます。おすすめです。
川沿いの古いアパート。雨が降ればしぶきに濡れ、配管からは音が響く。住人の一人である老人の言によれば、水は古い建物を通り、星々へ循環してゆくのだと。循環する水を通ってくるように、ぴたり、ぴたり、銀色の音と翅とが降りてくる。見上げれば、そこはきっと、はるかなる星の国へと繋がっている。
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