「1200の功徳を積んで花神として天界に戻った主ですが、伴侶の精霊と毎日いちゃいちゃしていて困っています。」
番外編④ 紅藍の手料理
紅藍が例の如く、なんの前触れもなく突然百花堂にやって来た。
その目には涙が浮かんでいて······。
番外編最新話更新です。
読んでいただけたら、幸いです。
「1200の功徳を積んで花神として天界に戻った主ですが、伴侶の精霊と毎日いちゃいちゃしていて困っています。」
最新話はこちらから↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330656395003480/episodes/16817330656398241783「黒竜に法力半減と余命十年の呪いをかけられましたが、謝るのは絶対に嫌なので、1200の徳を積んで天仙になります。」
本編はこちらから↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935955392AI画像は前に公開したものです。本当はこの番外編の際にお披露目の予定でしたが、追加話で使っちゃいました。
【〜ショートストーリーをとうぞ〜】
ある日、珍しく櫻花ちゃんが訪ねてきた。
「どうしたの?櫻花ちゃん」
どこか落ち込んでいるようにも見えて、いつもの笑顔がなんだか不自然だった。
「白蛇くんと喧嘩でもしたの?」
そのひと言で、素直な彼は困った顔で小さく頷く。それこそ珍しいことだ、と自分で訊いておいて驚く。
「······原因は、些細なことなのですが、」
「うんうん、」
その"些細なこと"を頷きながら最後まで聞き、思わず机の上に前のめりになってしまう。それって喧嘩っていうか····。
「本当、櫻花ちゃんたら、可愛い!」
よしよし、と頭を撫でて、愛しくて可愛い花を愛でる。
櫻花ちゃんは不思議そうに首を傾げ、こちらを見つめてくる。
喧嘩の原因は、いつも貰ってばかりだから、なにかお返しがしたいと櫻花ちゃんはあの白蛇くんに訊ねたらしい。
そしたら、「なにもいらない」と白蛇くんは答えたそう。実に彼らしい回答ね。
それで櫻花ちゃんが、なぜか「肖月に嫌われた」って、勘違いしちゃったってとこかしら?
「私にいい考えがあるわ」
こそこそと、耳元で内緒話をするように囁く。これなら、絶対に喜ぶと思うわ!
「私の、花を?」
「そう!枝ごとだと面白くないから、桜の花を小さな箱にぎゅうぎゅうに入れて贈るの。花束みたいに!」
蒼藍に教えてもらえば、不器用な櫻花ちゃんでも上手くできるはず!
「ふふ。それは、とても素敵ですね」
言って、先程とは違う優しい笑みを浮かべた櫻花ちゃんは、本当に綺麗だった。
私はその笑顔に感動して、思わず櫻花ちゃんの頭を机越しに捕まえ、ぎゅうぎゅうに胸元で抱きしめていた。
「喜んでくれたらいいね!」
「はい!」
櫻花ちゃんが、こんな風に笑えるようになったこと、すごく嬉しい。それがあの白蛇くんのおかげっていうのは、気に食わないけれど。
それでも、昔みたいに可憐な花のように笑う彼がここにいること、それがなによりも嬉しかった。
〜おしまい〜