• 異世界ファンタジー
  • 恋愛

最新話更新です。


「1200の功徳を積んで花神として天界に戻った主ですが、伴侶の精霊と毎日いちゃいちゃしていて困っています。」

番外編③花楓の願い

百花堂の四阿(あずまや)が完成し、花楓は、楽しみにしていた櫻花に知らせてあげようと堂へと足を運ぶ。

最新話更新です。
読んでいただけたら、幸いです。

https://kakuyomu.jp/works/16817330656395003480/episodes/16817330656398181237

こちらは花楓のAIで作成した、イメージイラストです。たまに依頼される、武神としての任務をこなしている、という妄想です(笑)



【ショートストーリー】


「櫻花様、大丈夫ですか?」

段差で躓きそうになった主を、右腕で腰を抱えるように支え、心配そうに花楓(ホアフォン)は訊ねた。
新調した足の先が隠れるくらいの長い白い道衣のせいで、話に夢中になっていた櫻花(インホア)は、前のめりに倒れそうになったのだ。

「ありがとうございます、花楓」

あはは····と、恥ずかしそうに頬を掻く櫻花は、自分を支えてくれているその腕に視線を落とす。

「あの頃はまだ小さくて、躓きそうになったあなたを私がいつも支えていたのに、不思議ですね、」

「····そうでしたね、ここに来たばかりの頃は、背も小さくて、この腕も細かったので。櫻花様が、いつも守ってくれていました」

ふたりは顔を見合わせて、小さく笑う。
あの頃は親と子のような関係で、自分などに名前をくれた主を、心から慕っていた。

それは、今もなにひとつ変わらない。

「本当に、立派になりましたね」

支えていた腕を腰から放し、花楓はその言葉と櫻花の慈しむような笑みに、胸のあたりが締め付けられる。

(俺は、受けた恩を一生をかけてあなたに返します。あなたは必要ないと言うだろうけれど、)

花楓は、前を歩く櫻花の背中を見つめる。

見上げていた幼い頃とは、違う視点で。
花神である、主を崇拝する者のひとりとして。

あの頃から変わらない想いを、胸に秘めたまま――――。


〜おしまい〜






コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する