「1200の功徳を積んで花神として天界に戻った主ですが、伴侶の精霊と毎日いちゃいちゃしていて困っています。」
番外編② 茶梅の小言
百花堂の主に返り咲いた櫻花。
主の帰還を喜んだのもつかの間、その隣にいる白蛇の精霊のことを"自分の伴侶"と紹介する櫻花の衝撃発言に、茶梅は····。
最新話更新です。
1話完結の番外編。
読んでいただけたら、幸いです。
https://kakuyomu.jp/works/16817330656395003480/episodes/16817330656398152070☆本編を読んでいただくと、より楽しめます☆
「黒竜に法力半減と余命十年の呪いをかけられましたが、謝るのは絶対に嫌なので、1200の徳を積んで天仙になります。」
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935955392茶梅(チャメイ)ちゃんのイメージイラストを、AIにて作成。
【ショートストーリーをどうぞ】
「茶梅、茶梅、」
ある日、主である櫻花(インホア)が、私の名を連呼していた。
「何事ですか、櫻花様?」
その声は明るく楽しそうで。なので、大事ではないと理解する。しかし無視するわけにもいかないので、一応どうしたのかと訊ねてみた。
「見てください、山茶花の蕾が今にも咲きそうですよ」
それは、私と同じ名の花で、私自身でもあった。山茶花の花の精である、私。その蕾が咲く瞬間を楽しげに見つめる、主。
なんだか、恥ずかしくなって私は頬をふくらませた。
「あんまりじっと見ないでください!なんか嫌です!」
「····こんなに可愛らしいのに、"見るな"だなんて。茶梅はいじわるです」
その言葉に、ますます私はなんとも言えない感情が込み上げてくる。
「そんなことより!あなたというひとは、また雑草たちを甘やかして!この百花堂が雑草まみれになったらどうするんですかっ」
「だって、むしってしまうなんて、なんだか可哀想なんですもん」
もん、じゃないです!と私はいつものように足元の雑草を引き千切る。櫻花はものすごく残念そうな顔をしたが、どうせ奴らはまた生えてくるのだ。
心優しい主のため、今日も私が憎まれ役をかってでる。
この百花堂の花たちを守るのが、私の役目なのだから。
〜おしまい〜