拙作「ふつどく! 2014」に関連する文ですが、作品の一部とすることに抵抗がありますので、付記としてここに公開いたします。
ツアーで一緒だった人たちから何通か、翌2015年に年賀状が届いた事は本文の最終章に書いた通りです。今年の旅行に行きたい場所といった希望を綴った方もおられます。
しかし、その2015年1月に起こったのがシャルリー・エブド事件です。
大きな衝撃を受けると同時に、こんなことを考えました。
「今年だったら家族は快く送り出してくれただろうか。旅行に行けたとしても、テロ自体の危険性とテロへの警戒の両面から、日本人の女一人で行動する事に、何か重い制限が課せられはしなかっただろうか……」
と思うと、2014年の初夏、旅行を先送りにしなかったのは大正解でした。
しかし、その選択の正しさをこんな形で確かめたくはありませんでした。
(※年賀状の送り主が巻き込まれた訳ではありません)
恥ずかしながら、2014年がクリミア併合の年でもあったことも最近になって知りました。
私が平和と自由と豊かさを感じていたとき、それは私の周りだけのことに過ぎなかったのでした。
いつか世界中に平和と自由と豊かさがもたらされる時は来るのでしょうか。
私の旅行は、知力体力コミュ力の要る活動をどんどん行う旅に比べれば平凡なものです。しかし、平凡どころか贅沢な旅だったと今は思います。
日本の庶民にとって欧州への旅行のしやすさという一点では、ここ数年よりも恵まれていたのかもしれません。
いつか隣国の戦争が終わるとき、またコロナ禍がおさまるとき、良きにつけ悪しきにつけ世の中は様変わりしているでしょう。
どのような世界であれ、人の一生を、時の流れを旅と呼べるならば……皆様、良い旅を。