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宮沢賢治先生の『虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)』を読んで。

こんにちは。
雪の香り。です。

『虔十公園林』は『もう一度読みたい 宮沢賢治』という短編集の中に掲載されています。
私はこの短編集ではじめてこの作品を知りました。

ほんの数ページの掌編なのですが、有名な『注文の多い料理店』や『風の又三郎』よりも好きですね(もちろん個人的な好みであって『注文の多い料理店』も『風の又三郎』も素晴らしい作品です)。

主人公の虔十さんは、家族には恵まれているようですが、他人には差別されている状態で……最初は読んでいて胸が痛かったです。
でも、だからこそ、その後に私の文章力ではとても表現できない感情を呼び起こされました。

美しい?
尊い?
あてはまるようですが、もっと静かに慈雨が土に染みわたるような歓喜も含まれるような……とにかく泣きたくなりました。

虔十さんはきっと家族がかばってくれるとはいえ、多くの差別にさらされ悔しい思いも哀しい思いも沢山してきたでしょう。
アコヤガイが、人為的に異物を混入され苦しみながら真珠を生み出すように、虔十さんもつらい人生の末に美しいものを遺した。

とはいえ、それが維持されたのは虔十さん自身だけでなくご家族の愛情もあったからであって、人は周囲の人間に恵まれるか否かで人生がだいぶ変わってくるのだろうなと思うなどしました。

この素晴らしい作品を是非みなさまにも読んでいただきたいと読書感想文としてしるしました。
まあ、私が無知だから存在を知らなかっただけで、有名な作品なのかもしれませんが。

以上、雪の香り。でした。
ここまで読んで下さった方にも私にも幸運が訪れますように。

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