雪森十三夜

　世の中ではありきたりな光景でも、当人にとっては唯一無二の瞬間。
　
　一つ一つの言葉が大事に語り掛けてくれる透明感が、
　分かってはいても呆気ない終焉の時を流してくれます。

　凝縮された何段階かの「想い」。
　それらが心地よくちりばめられた素敵なショートショートでした。
　思わず、ごちそうさまでしたと呟いてしまいました。

　幼い日、毎日読み進めずにはいられなかったお話達の感動を思い起こさせてくれます。
　ひと段落ごとに味が溢れていて、あっという間に惹き込まれてしまいます。

　日常の間に現れた非日常の瞬間。 　相対するものであるのに、計算高く演出されたかのような継ぎ目のない繋がり方に引き込まれました。 　こうして引き込まれる心地良さは、教科書や現国の…続きを読む